その後ベンチャー企業へ転職するも「失敗」

心機一転、新しい職場に選んだのは渋谷のITベンチャー企業でした。給与も以前よりずいぶん良く、今度は土日休み。初めての“オフィスワーク”にもワクワクしていました。

ところが職場の雰囲気はあまり良いものではなく、実は怪しいビジネスで儲けていることを知り、大きなショックを受けました。そして、実際に振り込まれた給与は提示額よりも低く、社長に問うと「ごめん、元の金額が間違ってたわ」の一言で片付けられたのです。

結局、その会社は試用期間の3カ月で去ることを決めました。意気揚々と踏み出した初めての転職はあえなく失敗。「次の仕事もどうせうまくいかない」…前職の上司に言われた通りの状態になってしまい、ひどく落ち込みました。社会人1年目で2回も会社を辞めてしまったのですから。

消去法で今のキャリアに辿り着いた

そんな筆者を拾ってくれたのが、次の転職先・リクルート社です。ありがたいことに仲間に大変恵まれ、刺激と充実の日々を3年半過ごすことができました。仕事は営業と原稿制作が半々で、ここで初めて「書く仕事」「作る仕事」の面白さに出会います。営業はかなり苦手でしたが、原稿を書く時間は楽しく、それなりに結果を残すこともできました。そしてこの間に念願のスクールに通い、資格(色彩検定1級)も取得できたのです。

3年半の“卒業”後は化粧品メーカーに転職し、今度はカタログ冊子の企画・編集の仕事を担当することになりました。残念ながら社風や方針が合わず転職を決めましたが、仕事の内容は面白く、徐々に自分に合う仕事が分かってきたといえるでしょう。

そして今の会社に転職したのが9年前。紆余曲折ありましたが、ようやく色に関わる企業に入り、専門誌の編集・執筆の仕事に就くことができました。また現在は、会社員としてだけではなく個人でも「書く仕事」を手がけています。

振り返れば、新卒の頃の筆者は世間だけでなく自分自身の理解も足りませんでした。どれだけ自己分析をしても正解が得られなかった筆者には、こうやって「体当たりしてダメなら次」「こっちも違うなら次」と、消去法で残った道を不器用に探すしかなかったのです。