日本のエネルギー安全保障の要、中東で続く米・イランの睨み合い 米のイラン核合意復帰に黄信号

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経済制裁で苦しいイラン、圧力を維持したいサウジとイスラエル

このような中、バイデン政権がイランへ接近するのではと懸念を持っていたイスラエルとサウジアラビアは、少し安堵しているかも知れない。イスラエルとサウジアラビアは、パレスチナ問題や人権問題などでバイデン政権が圧力を掛け、トランプ政権下の米国との蜜月関係がなくなることを懸念していた。

しかし、バイデン政権のイラン接近が予想されていたように上手く進まないことから、両国は何とかバイデン政権と良好な関係を維持しようと努め、イランへの圧力を維持したい狙いがある。

イランはバイデン政権になって経済制裁が解除され、米・イスラエル・サウジアラビアを中心とするイランへの圧力が弱まることを期待していたはずだ。経済制裁によってイラン経済は悪化し、若者たちのイラン政府への不満もいっそう高まっている。

一昨年、ガソリン価格値上げに端を発しイラン各地で激しい反政府デモが発生し、多くの死傷者が出たが、イラン政府はバイデン政権が経済制裁を解除し、国民の不満をかわしたい狙いがある。

イラン政府はイスラエルやサウジアラビアなど外からの脅威、国民という内からの脅威に直面している。

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和田 大樹

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執筆者

清和大学講師/ オオコシセキュリティコンサルタンツ アドバイザー、岐阜女子大学特別研究員、日本安全保障・危機管理学会主任研究員を兼務。専門分野は国際政治学、安全保障論、国際テロリズム論。日本安全保障・危機管理学会奨励賞を受賞(2014年5月)。共著に『2021年 パワーポリティクスの時代―日本の外交・安全保障をどう動かすか―』(創成社)、『テロ、誘拐、脅迫 海外リスクの実態と対策』(同文館2015年7月)、『「技術」が変える戦争と平和』(芙蓉書房2018年9月)など。研究プロフィールはこちら