2021年2月4日に行われた、グローリー株式会社2021年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:グローリー株式会社 代表取締役社長 三和元純 氏
グローリー株式会社 コーポレートコミュニケーション部長 南山隆敏 氏
2021年3月期 第3四半期決算説明会
南山隆敏氏:本日は2021年3月期、第3四半期決算説明カンファレンスコールにご参加いただきありがとうございます。コーポレートコミュニケーション部、南山でございます。
本日は、はじめに私から2021年3月期、第3四半期の連結業績のご説明をさせていただき、引き続き社長の三和より、2021年3月期業績予想についてご説明させていただきます。
連結業績概要 前年同期比
3ページをご覧ください。第3四半期累計期間の業績につきましては、前年同期に比べ減収減益となりました。売上高につきましては、前年同期比マイナス9.2パーセントの1,459億6,600万円。
利益につきましては、売上高の減少などにより、営業利益は、前年同期に比べ、マイナス41.7パーセントの74億300万円。経常利益につきましては、前年同期に比べマイナス39.4パーセントの72億4,400万円。親会社株主に帰属する四半期純利益につきましては、前年同期に比べ、マイナス56.4パーセントの31億5,600万円となりました。
第3四半期以降における新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、国内市場では、一部のお客さまに、商談・納品の延伸などございましたが、概ね通常どおりでございました。また、海外市場では、依然として欧米での事業活動に制約はあるものの、コロナ収束後に向けて商談を進めております。
営業利益 増減要因
次に、営業利益の増減要因についてご説明いたします。4ページをご覧ください。第3四半期累計期間の主な増益要因といたしましては、販管費の減少による効果が8億4,700万円ありました。
一方、減益要因といたしましては、売上高の減少による影響が59億3,600万円。原価率の悪化による影響が2億400万円ありました。この結果、第3四半期累計期間の営業利益は、前年同期に比べ52億9,400万円減少し、74億300万円となりました。なお、為替の影響につきましては、売上高でマイナス6億5,400万円。営業利益は、マイナス2,900万円の影響がありました。
セグメント別売上高・営業利益①
続きまして、セグメントごとの売上高・営業利益の増減分析についてご説明いたします。5ページをご覧ください。第3四半期累計期間のセグメント別売上高・営業利益につきましては、海外市場、流通・交通市場、遊技市場においては減収減益となりましたが、金融市場につきましては増収・増益となりました。
海外市場
セグメントごとの状況につきましては、もう少し詳しくご説明いたします。まず海外市場についてご説明いたします。7ページをご覧ください。売上高は、前年同期比マイナス3.9パーセントの704億4,900万円。営業利益は、前年同期比マイナス82.9パーセントの10億7,300万円となりました。
減収減益の主な要因といたしましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、特に欧米における金融市場向け紙幣入出金機のRBGシリーズの販売が減少したことによるプロダクトミックスの悪化でございます。
金融市場における販売は苦戦しておりますが、リテール市場においては、コンタクトレス、タッチレスのニーズを受け、セルフ型レジつり銭機の販売では増加しており、また、2020年4月に買収した「セルフサービスキオスク」などを販売するフランスのアクレレック社の業績につきましても徐々に回復傾向にあります。
地域別売上高
地域別の売上高につきましては、次のページにてご説明いたします。海外市場の地域別売上高については8ページをご覧ください。米州につきましては、新型コロナウイルス感染の影響を受け、商談、および納品の延伸などにより、金融市場向け、紙幣入出金機、RBGシリーズの販売は低調でした。
リテール市場におきましては、ダラー・ゼネラルなどの販売は計画どおりに進捗しており、紙幣硬貨入出金機CIシリーズの販売は堅調でありました。
欧州におきましては、米州と同様に、商談および納品の延伸などにより、金融市場向け紙幣入出金機RBGシリーズの販売は低調でありましたが、リテール市場におきましては、紙幣硬貨入出金機CIシリーズの販売は堅調であったことに加え、アクレレック社の売上貢献により増収となりました。
アジアにおきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により販売は低調でありましたが、中国においては、紙幣整理機の販売が更新需要を捉え順調でした。なお、第2四半期より連結対象といたしましたアクレレック社の売り上げについては、第2四半期ではすべての売上を欧州に組み入れておりましたが、第3四半期より、地域別に組み替えており、各地域別の売上高は表のとおりでございます。
金融市場
続きまして、金融市場についてご説明いたします。9ページをご覧ください。売上高は、プラス7.3パーセントの329億700万円。営業利益は、プラス129.4パーセントの57億7,900万円となりました。
増収増益の主な要因といたしましては、主要製品であるオープン出納システムの販売が、前年同期比プラス4.3パーセント、窓口用紙幣硬貨入出金機の販売が、前年同期並みの高い水準で推移したことに加え、新500円硬貨発行に伴う改造作業などにより保守売上高が増加いたしました。
流通・交通市場
続きまして、流通・交通市場についてご説明いたします。10ページをご覧ください。売上高は、マイナス11.6パーセントの329億4,800万円。営業利益につきましては、マイナス36.6パーセントの24億5,500万円となりました。
減収減益の主な要因といたしましては、新500円硬貨発行に伴う改造作業などにより保守売上高は増加いたしましたが、主要製品であるレジつり銭機の販売は、前年同期の大口需要の反動により、前年同期比マイナス22.4パーセント。また、券売機の発売につきましては、飲食店などレジャー施設における需要の減少により前年同期比マイナス41.7パーセントとなりました。
なお、主要製品であるレジつり銭機の販売につきましては、人手不足、および新型コロナウイルス感染予防を背景に、省人化、コンタクトレスニーズの高まりを受け、前年同期の大口需要を除きますと、販売額はプラス8.7パーセントとなります。
遊技市場
続きまして、遊技市場についてご説明いたします。11ページをご覧ください。売上高は、マイナス51.0パーセントの78億1,100万円。営業利益につきましては、1億5,900万円の損失となりました。
減収減益の主な要因といたしましては、設備投資抑制の影響により、主要製品であるカードシステム等の販売が、前年同期比マイナス71.2パーセント、また、ホール向け賞品保管機も、前年同期比マイナス75.7パーセントと低調でした。
最後に、これまでご説明した4つのセグメントに属さないその他の事業につきましては、売上高は、前年同期比マイナス48.3パーセントの18億4,900万円、営業損益につきましては、17億4,400万円の損失となりました。
それでは続きまして、社長の三和より、2021年3月期の業績予想についてご説明させていただきます。
2021年3月期 業績予想
三和元純氏:三和でございます。よろしくお願いいたします。それでは、資料の13ページをご覧ください。売上高予想につきましては、金融市場、流通・交通市場における主要製品の販売増加、および新500円硬貨発行に伴う改造作業などによる保守売上高の増加などが予想されるため、当初予想の2,100億円から2,130億円に上方修正いたしました。
また利益につきましても、経費支出を引き続き抑制することや、主要製品、および保守売上高の増加などが予想されることから、営業利益を80億円から110億円に、経常利益は80億円から100億円に、親会社株主に帰属する当期純利益は35億円から45億円にそれぞれ上方修正いたしました。
セグメント別売上高・営業利益②
セグメント別の売上高、営業利益の予想につきましては14ページをご覧ください。海外市場におきましては、各地域ともに売上は緩やかながらも回復に向かうと予想をしております。
しかしながら、事業活動の制約が続いており、年間売上高を1,030億円から1,010億円に下方修正いたしました。一方で、経費支出の抑制などにより、営業利益は15億円から25億円への改善を見込んでおります。
金融市場におきましては、オープン出納機の更新需要や、新500円硬貨発行への対応に伴う改造作業などによる保守売上高の増加が見込まれることから、売上高は465億円から500億円に、営業利益は65億円から80億円にそれぞれ上方修正いたしました。金融市場は、売上高、営業利益ともに前年度を上回る見通しであります。
流通・交通市場につきましては、セルフ化、コンタクトレス化ニーズの高まりから、セルフ型レジつり銭機の販売が持ち直しており、売上高は460億円から485億円に、営業利益は30億円から35億円に上方修正いたしました。
一方、遊技市場におきましては、当面は厳しい事業環境が続くと予想されるため、売上高を下方修正いたしました。
海外地域別売上高予想
次に、海外の地域別売上高予想についてご説明いたします。15ページをご覧ください。2020年に子会社化しましたアクレレック社の売上をこれまで欧州に計上しておりましたが、今回より地域別に組み替えております。その影響もあり、米州につきましては、年間売上高予想を340億円から345億円に上方修正いたしました。
欧州につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて金融市場の商談が延伸傾向にあることや、アクレレック社の地域別売上高の組み替えを実施したことなどにより、年間売上高予想500億円から470億円に下方修正いたしました。
アジア・中国は、年間売上高予想を据え置きましたが、OEMについては、ATM市場が少し持ち直してくることが予想されるため、売上高を50億円から55億円に上方修正しております。
配当予想修正
続きまして、2021年3月期の配当予想につきましてご説明いたします。16ページをご覧ください。配当予想につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大による事業活動の影響を想定し、1株当たり年間60円としておりましたが、通期連結業績予想が従前を上回る見通しとなったことや、将来の事業環境などを勘案し、期末配当を6円増配し、2020年3月期と同額の1株当たり年間66円に修正させていただきます。以上で2021年3月期の業績および配当予想に関する説明を終わらせていただきます。
TOPICS
さて、TOPICSとしまして2つご紹介をさせていただきたいと思います。18ページをご覧ください。1つ目は、券売機、KIOSKなどのIoT化による流通・飲食店舗のデジタルトランスフォーメーションの推進。2つ目は、生体・画像認識技術の医療、介護分野への浸透であります。
当社は昨年5月にアドインテ社と、本年1月にShowcase Gig社と資本業務提携を行いました。両社の持つテクノロジーと当社の券売機やKIOSKを融合して製品のIoT化を進め、それらから収集したデータを解析し、経営課題の解決や収益改善に貢献する新しいソリューションを提供することで、店舗のデジタルトランスフォーメーションを推進します。
また、生体・画像認識技術につきましては、医療、介護分野への浸透に注力しております。この2分野についての取り組みを少しご紹介をさせていただきます。
券売機、KIOSKのIoT化による流通・飲食店舗のDX推進①
19ページをご覧ください。アドインテ社はIoTハードウエアである「AIBeacon」で取得したデータを用いて、来店される消費者の顧客分析や行動解析を得意とし、ウェブターゲティング広告やクーポン配信による集客率向上、データ解析による経営課題解決に取り組んでおります。
Showcase Gig社は、さまざまなモバイルオーダー、事前決済サービスなどが得意分野です。当社の券売機やロッカー、昨年5月に子会社化したアクレレック社の「セルフサービスキオスク」などの製品にアドインテ社やShowcase Gig社が提供する「AIBeacon」やモバイルオーダーサービスなどを組み合わせて製品のIoT化を進めます。
さらに、3社の製品、サービスから得られるデータを融合して販売予測や効率的な店舗運営、集客率向上につながる新しいサービスを提供し、また店舗運営のデジタルトランスフォーメーションを推進いたします。
券売機、KIOSKのIoT化による流通・飲食店舗のDX推進②
20ページをご覧ください。これは流通・小売・飲食市場を超えて、金融・医療・アミューズメントなど、当社グループの事業領域全般にわたるデータマネジメントプラットフォーム構築の想像図です。
当社グループや提携企業が市場に送り出している数多くの製品やサービスを通じて、データを収集、蓄積、分析し、さまざまな社会課題に向けたソリューションを提供することを目指しております。
生体・画像認識技術の医療、介護分野への浸透
続きまして、医療・介護分野における生体・画像認識技術を活用した事例をご紹介いたします。21ページをご覧ください。介護施設は年々増加しており、現在、約5万の介護施設がございます。
各施設とも、入居者の安全安心な環境づくり、および運営スタッフの負担の軽減が経営課題となっております。当社ではこの課題を解決すべく、2019年11月に、介護・福祉施設向け健康見守りサービスを提供するエコナビスタ社と業務提携を行い、当社の顔認証技術とエコナビスタ社が提供する「ライフリズムナビ+Dr.」を連携させた「離設事故予防システム」の販売に注力しております。
このシステムは、介護施設から離設する患者や、入居者を事前に検知し担当者に通報することができるものであり、多くの介護施設から、施設の安全安心な環境づくり支援とスタッフの負担軽減に貢献できるとご好評をいただいております。
また、エコナビスタ社との協業により、入居者の安全安心な環境づくりのステップを一つ進めた新たなシステムとして、骨格認証技術と3次元カメラを用いた「転倒検知システム」の準備にも取りかかっております。対象としましては、比較的規模の大きい2万8,000の施設を対象に、まず10,000セットの販売を目指しております。以上をもちまして説明を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。