状況が複雑すぎて身動きがとれない
日本は本質のすり替えばかりしています。当たり前のことが、なぜか言えず、やがて本質を見失ってしまう。その背景のひとつが、やはりカルチャーとしての「空気を読む」と「忖度」でしょうか。さらに今年になって「わきまえる」もエントリーしましたね。
しかし背景には「複雑な構造」があります。いわゆる“大人の事情"です。事例として少し前にあった、大手広告代理店の若い女性社員の過労死問題をとりあげます。これは、自分も同じ業界出身のため、かなりウォッチしていました。
あの痛ましい事件の後、その代理店OBの多くの方々が、ブログなどで意見を言っておられました。そのなかで、かなりあったのが「問題はあるが、クライアントの要望を断れない」という声。これは分かるんですよね。変えようとしても、まわりの状況が許さない。
ただ、この問題を深堀りすると、やはり価格の問題があるのだと思います。多くの業界と同じで、広告業界も現在は苛烈な価格競争があります。本来、大手代理店の高価格は「総合力」「提案力の差」などに準拠していたはずですが、価格防衛上、どこかで「どんなムリでも聞く」「過剰サービス」といった要素が紛れ込んでいたのではないか。
そして高価格のあくまで一要因ですが、そこには高賃金体質も影響しています。ここから冒頭の終身雇用&年功序列の話にループするわけです。