終身雇用&年功序列はネズミ講?

終身雇用&年功序列が成立するマクロな条件を考えてみます。

まず人口構成として、給与の比較的高い中高年層の比率が低いこと。そして経済が成長期でインフレ基調であること。考えてみれば、今の時代とは真逆です。つまり、終身雇用&年功序列は、ある条件が続けば永遠に回るネズミ講みたいなものだったのかもしれません。

インフレ基調のなかで支払いを数十年後にするわけですから、オイシイ話ですよね。終身雇用&年功序列が、高度成長のエンジンだったわけです。さらに、企業にとって優秀な人材を抱え込む優れたシステムでもありました。

別に、それ自体に文句を言っているわけではないのです。働く側も、ある種、納得していたわけですから。ただ問題は、いまは大分少なくなりましたが、「終身雇用は日本企業の美徳だ」と発言をする経営層の人たち。それは違うでしょう。美徳だけの問題ではなく、経営的な利点や国際競争力の源泉という側面もあったはずです。

どこかで、日本では話が本質と乖離(かいり)してしまうのです。そして本質を見失うので解が出せない。もう一例あげます。「なぜ日本は高度成長できたのか」その答えが「日本人が頑張ったから」。小学生の回答みたいですよね。

高度成長を「企業の上場」に置き換えてみます。頑張った企業が全部、上場できますか。そんなこと言ったら、日本のほとんどの企業は上場してますよね。「上場」も「高度成長」も“頑張った"以外にも理由があるんですよ、普通は。