2021年2月5日に行われた、スズキ株式会社2021年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:スズキ株式会社 取締役 常務役員 長尾正彦 氏

第3四半期決算 総括

長尾正彦氏:それではまず、私長尾から決算の概要報告をさせていただきたいと思います。概要をパワーポイントの形式に直した資料がございます。このパワーポイントの資料に沿いまして、順次ご報告をしたいと思います。

それぞれのページの右肩にページ番号を書いてございますので、これを参照しながらおめくりいただければありがたいなと思います。

まず、2ページ目でございます。決算の総括をここでさせていただいております。トータルいたしますと減収減益ということになりました。売上高で見ますと2兆1,755億円、4,506億円の減収。営業利益につきましては1,388億円、316億円の減益。経常利益は1,749億円、199億円の減益。それから当期純利益が1,132億円、34億円の減益ということです。

ここで、当期純利益のところの減益幅が、上2つに比べますと少ないですが、これは特別損益として投資有価証券の売却益、具体的に言うとドコモの売却益をここに計上させていただいております。これがだいたいドコモ分含めて119億円ぐらいございますので、ここがプラスに効いて、この分が減っております。

それから世界販売のところですが、四輪車で175万6,000台にとどまりました。40万4,000台の減。インド、アジア、欧州で減少です。二輪車につきましては111万7,000台、22万7,000台の減ということで、これもインド、アジア等で減少という結果になっております。

連結:売上高の状況

3ページ目、ご覧いただきたいと思います。これは売上高を事業別、それから地域別に分解した表でございますが、減収、黒三角が目立っておるところでございます。

四輪、二輪、マリンともに三角が多いですが、ちょっと逆にプラスのところが少ないので、ここだけ言っておきますと、マリンのところで北米がプラス32億円、アジアでインド以外がプラス31億円。これは具体的には中国ですが、マリンは逆にコロナの影響で「オープンエアのところに行きたい」「海とか川ならコロナとは無縁」ということがあって、こういった地域の方々のレジャーを動かしたというところが需要につながったということでございます。

それから、為替影響のところは外数で書いておりますけれども、763億円の減収につながっております。

四半期毎の業績推移

以上の業績を、少し過去分を含めて推移で書いたのが4ページ目でございます。当期に入りまして、第1四半期はインドのロックダウン等々、コロナの直撃を受けたところでございますが、夏以降、7月以降挽回にがんばりまして、営業利益でいくと736億円。

それから第3四半期はやや減りまして639億円というところに来ております。こういう推移でございますので、ご理解ください。

連結:営業利益増減要因(4~12月期)

それで、5ページ目に営業利益の増減要因をグラフで書かせていただいております。一番大きいのは、やはり売上・構成変化等の1,462億円の減でございます。ここが一番大きく効いております。

特にちょっと最近気になってきておりますのが、原材料価格のところの効きでございます。ここが118億円のマイナス要因で、原材料価格の高騰の影響が表れております。自動車の触媒で使います貴金属、なかんずくロジウムが非常に高騰をしていることが、ここに効いてきております。

これをカバーするように、左側から諸経費の減で859億円プラス、減価償却費の減で313億円プラス、原価低減で100億円プラス。このあたりがプラスで、相殺しますと、営業利益は316億円の減益ということに4月から12月はなりました。

連結:営業利益増減要因(10~12月期)

その中で、第3四半期だけ、10月から12月だけ取り出したのが6ページ目でございます。売上・構成変化は、トータルではだいぶ改善してきているのですが、先ほど言及いたしました、内、原材料というところが、逆にこの第3四半期が一番大きく効いていまして、76億円のマイナスということです。これが先行きもちょっとまだ不透明な状況になってきているというところがございますので、懸念点の1番目としてお伝えしておきたいと思います。

連結:為替レート

7ページ目、ご覧いただきたいと思います。為替の差損を分解した数字でございまして、全体で153億円の減で、その約半分の75億円ぐらいがインドルピーということでございます。

連結:設備投資等

それから8ページ目、設備投資等でございますが、やはりコロナのロックダウン影響がありましたので、物理的に稼働ができなかった、工事に行けなかった、物の移動ができなかった、あるいは人、応援要員が派遣できなかった等々ございました。特にグジャラート関係も含めてここの影響が出まして、設備投資のところは1,217億円にとどまっております。

逆に、減価償却は、CASE対応ですとか電動化対応とか、急がなきゃいけないものをメリハリしっかりつけ始めております。ここのところはメリハリをつけながらやらせていただいております。

あとは、連結子会社の数が前期末と比べて6社ぐらい減っているというのは、細かくなりますけど、中国のR&D会社ですとかS.I.M.の孫会社2社、あるいは国内の納整センターとかR&Dのアジアのあたりをちょっと整理統合した関係の数字でございます。

連結:キャッシュ・フロー

9ページ目、キャッシュ・フローをご覧いただきたいと思いますが、営業の挽回で営業キャッシュ・フローがプラス2,696億円。これを反映して、フリー・キャッシュ・フローとしてはプラスの1,287億円というところまで伸びてきております。

銀行借入で借りた分の財務キャッシュ・フロー、プラス3,242億円も足しますと、キャッシュ残高でプラス4,588億円ということで、トータルとしての残高は期首と比べると倍ぐらいに近い8,792億円まで積み上がっております。

当座、やはりまだ「備えあれば憂いなし」でございますので、いろいろ不安定要素、コロナだけではなくていろいろ部材料の問題、原材料の問題、客観的なところで気になるところはあると思いますので、我々としてはこれぐらい備えておいたほうがいいかなということで、キープをしておきたいと思っております。

連結:事業別業績 (売上高・営業利益)

それから10ページ目でございますが、事業別の業績でございます。左側から四輪ということでございますが、減収減益、300億円の営業利益減益でございます。

それから、二輪のところは14億円の赤字ということに残念ながらなっておりますが、先般からご報告しているとおり、二輪は再建を加速しております。固定費の圧縮ですとか、いろいろ商品の見直し等々を精力的にやっておりまして、期を追うごとに赤字幅が減って、例えば第1四半期ですと30億円の赤字、第2四半期ですと6億円の赤字が、第3四半期は逆に22億円の黒字ということです。

着実にこういう数字を生み出すということを念頭に置いています。累計いたしますと14億円の赤字となりますけれども、二輪事業につきましては下期は少なくとも絶対に黒字にしようということで、いろいろな改革の実行を急がせておるところでございますので、そういうふうにご理解いただければと思います。

それからマリンは売上高プラス15億円、営業利益は2億円減益ということでございます。

連結:所在地別業績(売上高・営業利益)

それから、11ページ目でございます。所在地別業績のところです。日本のところは、トータルいたしますと934億円の営業利益ということで、プラス15億円の増益ということになってございます。

コロナの緊急事態宣言等、足元でまだまだ出ておりますけど、この第3四半期を振り返ってみると、やっぱり夏場から営業回復、営業挽回を非常に強力にやりまして、国内の営業のところの尽力で売上・構成変化なんかも非常によくなってきているということがあります。

逆に、会社の中の対応としましては、緊縮予算を徹底してやったり、あるいは減価償却費を、結果的にではありますけど減らしたり、そういったもろもろを合わせてこのような数字になっているところでございます。

ちなみに、売上・構成変化のところだけの数字で言うと、第1四半期がマイナス484億円、第2四半期がマイナス31億円、これが第3四半期になりましてプラス62億円というかたちで、ようやくプラスの芽が出てきているというところが、この中の内数としては言えるかと思います。それから、欧州、アジア、その他はご覧のとおりの数字でございます。

マルチ・スズキ・インディア社の業績

それで、アジアの中のなかんずくインドのところでございますが、12ページ目です。みなさんももうご案内のとおりかと思いますけど、先立ってマルチ・スズキ・インディアの決算発表がございました。

左側がルピー建、右側が円建の換算額ということでございます。営業利益が152億円と、前年に比べますとまだまだ減益ではございますけれども、ようやくプラスになってきているということが特徴的かなと思います。特に、10月から12月の祝祭シーズンをなんとか好調に推移したということがあるかと思います。

四輪車 生産・販売実績

13ページ目以降が、生産・販売の報告になります。四輪車のトータルで見ますと、4月から12月期で175万6,000台、前年同期比で40万4,000台ぐらい減っております。右にありますように、だいたい世界中で減っているわけでございますが、特にインド等を中心に減ったということでございます。

四輪地域別販売 (日本)

以降、地域別に四半期別の推移を見てもらいたいので、まず14ページ目の日本のところでございます。さすがに累計では減りましたが、4月から6月に一番減りましたのを、ここから反転しまして、7月以降は営業が挽回をしました。おかげさまで日本の生産も正常化できてきておりますので、それに伴う供給力もあるということでございます。

7月から9月は前年より伸び、10月から12月も前年より伸びたということで、例えば「新型ハスラー」ですとか「新型ソリオ」の販売の好調さも出てきており、まだいまだにバックオーダーがあります。ここを優先的に解消しながらお客さまにお届けするといったところもしっかり対応して、挽回策を展開しているところでございますので、ご理解いただきたいと思います。

四輪地域別販売 (インド)

それから15ページ目が、インドでございます。これも4月から6月、7月から9月、10月から12月と分解した販売台数の推移を載せております。ここも、4月から6月はロックダウンが一番効きましたので大幅に減りましたが、7月以降挽回ということで、7月から9月、それからお祭りシーズンを挟んだ10月から12月でもプラス11パーセントぐらいということで、前年を上回る感じのところまで戻ってきているというところはあるかと思います。

ちょっとトピックスで横にそれますけど、インドで「ジムニー」の輸出ラインを整備いたしました。もうさっそく先月から、インド産「ジムニー」ということで中南米等々への輸出を開始しているところでございます。このへんもインドの輸出貢献というところをがんばっていきたいと思っております。

四輪地域別販売(アセアン)

16ページ目はアセアンでございます。アセアンは一言で言うと、コロナの影響が出ているところが、まだその影響が残ったまんまという感じがいたします。特にインドネシアは、この左側の図を見ても、前年同期7万9,000台が4万7,000台といったところに落ち込んでおります。期を追うごとに徐々に回復はしてきているところではございますけど、まだまだの段階と。

この中にミャンマーが入っておりますが、先立ってミャンマーのクーデターの関係についてちょっと補足しておきますと、クーデターが起きて、一応ミャンマーの2工場、サウスダゴンとティラワのほうは一旦みんな自宅待機にしましたけれども、2月の4日から事業を再開しております。

いろいろ治安とか安全を確認しながら、フルフルではございませんけれどもなんとか稼働はできるということになりましたので、稼働に至っておりますことをあらためて報告したいと思います。

四輪地域別販売 (欧州)

それから17ページ目が欧州でございまして、こちらはロックダウンが世界で一番早かった分、ロックダウン解除も早かったんですけれども、期を追うごとに、やっぱり第2波、第3波の影響が出てきつつあります。

4月から6月に比べ7月から9月は回復しましたが、回復が少し鈍化してきて、減少してきているというところがヨーロッパの特徴でございます。ここは少しコロナの影響のところをしっかり見据えていかなきゃいかん、回復が遅れていると言っていいかと思います。

二輪車 生産・販売実績

18ページ目が二輪でございまして、これもトータルで111万7,000台ということで、減っております。日本、北米、中国で増えた以外はすべて減少というところでとどまっております。

通期業績予想(総括)

それから、最後19ページ目以降でございますけれども、今回業績予想は据え置かせていただいております。コロナの動向というのもありますし、加えて先ほど申しましたような原材料価格、ロジウム等々の価格影響が懸念材料として出てきております。それから部品供給、今は半導体の影響はそう大きくないところでございます。

我々の場合、いくつか影響の出ているものがありますけれども、その減った分はあとあとの残業とか休日出勤で対応するぐらいのレベルで、なんとかとどまっております。現状は多少の影響でとどまっておりますけど、今後を見据えると……。日々我々の調達部門が、サプライヤー、それから部品のチェックをして、「大丈夫か?」という確認をさせていただいております。

「ちょっとこれは……」というのがあったら、代替を探すとか在庫をよくよくチェックしてやるとか、ちょっときめ細かい対応が出てくると思いますし、物流を切り替えるとかという対応も出てくるかと思いますので、まだちょっとこのへんの先行き、特に3月、4月以降のところは不透明感が相当あるということでございます。

一言で言うと、インド含めて、需要のところはそんなに落ちていない感じがしますし、むしろ逆にここから着実な回復にステップアップしていく中であろうとは見ておりますけれども、コロナの影響とか、それから生産、調達面での心配といったところのプラスマイナスを両方勘案して、とりあえず今回は第3四半期でもあるので、据え置かせていただいている結果となっておることを、ぜひぜひご理解いただければと思います。私からのご報告は以上でございます。

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