2021年2月9日に行われた、日産自動車株式会社2021年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:日産自動車株式会社 取締役 代表執行役社長兼最高経営責任者  内田誠 氏

日産自動車株式会社 取締役 最高執行責任者兼チーフパフォーマンスオフィサー アシュワニ・グプタ 氏

2021年3月期第3四半期決算説明会

内田誠氏(以下、内田):本日はお忙しい中ご参加いただき、ありがとうございます。まず、新型コロナウイルスの感染対策で、第一線において引き続き医療従事者のみなさまが全力で対応していただいていることに対して、この場をお借りして感謝申し上げます。

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日産は引き続き、お客さまや従業員とその家族、ならびに販売会社、サプライヤーなど、すべてのステークホルダーのみなさまの安全を最優先にしつつ、感染予防策をしっかりとった上で事業運営を行ってまいります。

新型コロナウイルスの感染再拡大を含む不透明感が強まる中、世界全体も大きく変化しています。欧州では、昨年末に英国とEUの間で貿易連携協定が合意され、グローバルな通商政策についても見通しが立ってきました。

また、環境問題に対する意識が世界中で急速に高まり、自動車業界は今後、電動車両への移行が必須となっています。

こうしたビジネス環境の動向をふまえ、事業構造改革「NISSAN NEXT」の確実な実行による早期業績回復と、その次の時代に備えた事業基盤づくりの重要性を改めて再認識しているところでございます。

前回の四半期決算発表の際、私から「NISSAN NEXT」の取り組みは着実に進んでいると申し上げました。それから3ヶ月経過しましたが、そのモメンタムは継続しております。

それでは、COOのアシュワニ・グプタから第3四半期の結果を説明し、その後、私より2020年度通期の業績見通しについてご説明いたします。グプタさん、よろしくお願いします。

グローバル自動車市場の推移

アシュワニ・グプタ氏:内田さん、ありがとうございます。みなさん、こんにちは。新型コロナウイルス感染拡大に伴う、世界的な危機への対応を迫られる中、世界はマクロ的、及び業界の抱える課題にも直面しています。しかしながら、最近になって一部の経営環境については見通しが立ちつつあり、心強い兆しも見えてきました。

第3四半期、グローバルな全体需要は回復をし始めております。そして、前年を超える水準に戻りつつあります。当社のコア市場については、米国の全体需要は前年並みまで回復する一方、中国は引き続き前年を超えるレベルで推移しております。

国内の全体需要は前年超えを果たしましたが、これは2019年度の第3四半期は消費税増税に伴い、需要が低迷していたためです。第3四半期の国内の全体需要は第2四半期と同水準にとまりました。一方、欧州の全体需要は前年をわずかに下回る水準が続いております。

グローバル 事業活動①

日産は、引き続き変化する環境やニーズに対応しています。当社のグローバル事業は、人々の健康と安全を徹底し、回復を果たしています。まず、第3四半期の日産のグローバル生産台数は着実に増加し、第2四半期から12パーセント拡大しました。

次に、販売会社のほぼ全拠点が営業を行っており、98パーセントが通常営業を続けております。バーチャルプラットフォームを利用されるお客さまも増え、デジタルをきっかけとした販売台数は7万4,000台に達しました。

今後も新たな生活様式に対応し、デジタルな経験、顧客経験価値向上に向けて、重点的に取り組んでまいります。

グローバル 事業活動②

新型車の投入については、日産の従業員のチャレンジ精神に支えられ、次々と新型車を投入しています。国内とアジアに向けた「キックス e-POWER」、米国の新型「ローグ」、アジア・メキシコの新型「ナバラ」「フロンティア」、インドの「マグナイト」、そして国内の新型「ノート e-POWER」をはじめ、複数の新型車を発売しました。

さらに、複数の開発中のモデルも発表しています。新型クロスオーバー電気自動車「アリア」「フェアレディZ プロトタイプ」「インフィニティQX60」「インフィニティQX55」をご披露いたしましたが、今後、日産のブランドパワーとセールスの成長の向上に大いに貢献してくれると期待しています。

2020年度 販売実績

では、販売実績に移りましょう。第3四半期の当社の販売実績ですが、グローバル販売台数は第2四半期から着実に回復しており、2.4パーセント増加しました。

中国の日産ブランドの販売は第2四半期から4.1パーセント伸びる一方、中国の総販売台数は車種構成と市場のミックスにより、ほぼ横ばいとなりました。

国内の当社の販売台数は7パーセント減となり、新型コロナウイルスの感染拡大、季節要因、そして旧型「ノート」から新型「ノート」への切り替わり期間に当たったことが影響しました。

米国の当社の販売台数は、第2四半期に対し9.9パーセント増加しましたが、これはお客さまとディーラーの、当社の現行車及び新型車に対する信頼感の表れです。

欧州における当社の販売台数は、第2四半期に対して7.3パーセント減となり、冬の間の新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出制限により、消費者心理が低迷した影響を受けました。

その他地域の当社の販売台数は、第2四半期から15.2パーセント増加し、新型「マグナイト」が好調なインドも寄与しました。

米国事業パフォーマンス①

次に、それぞれのコア市場における業績について、詳しくご説明したいと思います。米国では、継続的に毎月、四半期を追うごとに販売を伸ばしており、販売の質の向上を図り、着実にボリューム・量からバリュー・価値へと事業の軸足を移しています。

第3四半期は、商品の持つ価値を反映した値付け、バリュープライシングと在庫削減により、台当たりの売上を5パーセント改善しました。台数、在庫台数、フリート販売構成比、そしてインセンティブの改善が、販売の質向上に寄与しております。

米国で好調な滑り出しを見せた新型「ローグ」のセグメントシェアは、5.9パーセントに伸長いたしました。日産「ローグ」の持つ価値を反映した値付け、バリュープライシングは、旧型に対し22パーセント向上しました。

これは、お客さまが新型「ローグ」を価格の安さではなく、商品の持つ価値を認めて購入してくださっているという証です。お約束したとおり、日産は今後魅力あふれる商品・技術を米国のお客さまにお届けし、量より価値の向上に努めてまいります。

米国事業パフォーマンス②

ディーラーをはじめとするビジネスパートナーとのベクトルを合わせ、信頼感の強化を図る中、当社は力を合わせて顧客経験価値の向上に取り組んでいます。その結果、顧客満足度も大きく改善しました。日産の販売満足度指数は2019年の日系メーカートップ3から、2020年はトップ2に順位を上げました。

同時に、ブランドランキングも8位から6位へとランクアップを果たしています。さらに、これまでの四半期と同様に、当社の商品及び技術は、業界全体でJ.D. POWER社や、北米カー・オブ・ザ・イヤーをはじめとする複数の団体から高く評価されております。

先週、新型「パスファインダー」と新型「フロンティア」を発表しました。どちらも、今後のアメリカ事業の利益ある成長に寄与してくれると大いに期待しております。

「パスファインダー」と「フロンティア」の発表後の週末には、当社のブランド好意度は63パーセントに達しました。心強い限りです。

中国事業パフォーマンス

中国における日産ブランドの販売は、前四半期に対しても前年に対しても拡大しています。日産ブランドの市場占有率は2020年暦年で11.5パーセントに達し、最高記録を更新いたしました。何よりも、販売の質改善を徹底し、当社の実売価格は業界平均を上回っております。

2020年暦年では、日産「シルフィー」が中国市場で、乗用車市場ナンバーワンの販売を達成しました。今後も最新技術を搭載した新型車を投入し、勢いをつけてまいります。

日本事業パフォーマンス

国内についてです。国内の日産の第3四半期の販売台数は、前年から増加する一方、第2四半期に対しては新型コロナウイルスの感染拡大、季節要因及び新型「ノート」の発売に向けた準備の影響を受け、わずかに減少しました。ブランドパワーも向上し、日産のテレビコマーシャルは2ヶ月連続で好意度ナンバーワンを獲得いたしました。

ホームマーケットである国内では、引き続きCASEの領域におけるリーダーとしての立場を強化しています。具体的には、日産はこれまで累計で60万2,000台の電動化車両を販売しました。

運転支援技術については、これまで41万8,000台にのぼるプロパイロット搭載車をお届けしてまいりました。これは、国内のお客さまが当社のご提案するCASE技術を評価してくださっている証です。

100パーセントe-POWERを搭載した新型「ノート」は、おかげさまで大変ご好評いただいており、2万台を超えるご注文をいただいております。ナビリンク付きプロパイロットの装着率は41パーセントに達しています。今後登場する先進技術を搭載した新型車で、さらに足場を固め、拡販を促進してまいります。

電動化リーダーシップ

当社のコア市場に共通するテーマは電動化です。電動化は、日産の戦略のコアとなる取り組みです。第3四半期は電気自動車の販売を伸ばし、日産「リーフ」の販売台数は前年から14パーセント増加いたしました。

おかげさまで、今後発売予定のクロスオーバー電気自動車「アリア」にも大変なご注目をいただいておりまして、現在、グローバルで10万人を超えるお客さまから関心を寄せていただいております。

「アリア」は、日産の強みであるSUVのヘリテージと実績のある電気自動車がご提案する顧客経験価値を融合した自信作です。同時に、日産は持続可能なバッテリーのエコシステムの構築にも積極的に取り組んでいます。国内では合弁会社フォーアールエナジーのもと、再利用バッテリーの販売を25パーセント伸ばしました。

以上の活動により、当社は事業と活動を含む車のライフサイクル全体におけるカーボンニュートラルの実現に向けて歩を進めてまいります。

NISSAN NEXT:ビジネス トランスフォーメーション①

次に「NISSAN NEXT」の進捗状況について、ご説明したいと思います。「NISSAN NEXT」の活動は、これから申し上げる分野で大きく前進しています。ボリューム・量からバリュー・価値へと軸足を移し、販売の質を向上しています。コストベースの最適化をします。

次に、先進技術を装備した新型車で成長を加速化しています。販売の質については、台当たりの売上を1.7パーセント改善しました。これには、レンタル販売の構成比、在庫及びインセンティブの削減も寄与しています。

同時に、事業運営コストの効率性と有効性の改善も図っています。事業、販売マーケティング、一般管理のコストの効率化を進め、固定費を12パーセント削減しました。

以上の取り組みの結果、「NISSAN NEXT」の目標達成と将来の成長に向けた準備は順調に進んでおります。

NISSAN NEXT:ビジネス トランスフォーメーション②

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、自動車市場が強い逆風にさらされる中、日産は販売の質向上とコストベースの最適化を徹底しています。その結果、第3四半期は営業利益は271億円、中国事業持分法ベースのフリーキャッシュフローはプラス387億円、比例連結ベースではプラス858億円となりました。

ご覧いただけますように、第2四半期に続き、第3四半期でもプラスのフリーキャッシュフローを確保し、販売、コスト、投資のオペレーションの効率化が進んでいることがおわかりいただけると思います。

財務実績①

次に、財務実績です。2020年12月末までの財務実績ですが、右側にありますのが第3四半期の結果です。第3四半期の連結営業利益は271億円、売上高営業利益率は1.2パーセントになり、前年から改善いたしました。

以上の結果は過3ヶ月間の数字ですが、「NISSAN NEXT」でお約束した「比例連結ベースで2021年度末までに売上高営業利益率2パーセントを達成する」という目標に向かって、勢いをつけていることの証です。

販売台数減を受け、9ヶ月間の連結売上高は5.32兆円に留まりました。営業損失は1,316億円、当期純損失は3,677億円です。

財務実績②

次に、2019年度と2020年度の第3四半期を比較した増減分析をご覧いただきましょう。2019年度第3四半期の営業利益は227億円でした。この起点に対し、主に新型コロナウイルス感染拡大に起因した台数減が554億円の減益要因となりました。為替変動は378億円の減益要因となりました。

複数の逆風にさらされる中、当社は主に商品の持つ価値を反映した値付け、バリュープライシングの取り組み、インセンティブの抑制、そして原価低減により、それぞれ400億円と576億円の増益要因を生み出しました。

これらの増益要因が原材料価格の高騰によるマイナスを一部補い、2020年度第3四半期の営業利益は271億円となりました。

流動性の状況

厳しい環境のもと、日産は引き続きたしかな流動性を確保しています。2020年12月末現在の手元資金は約2兆円で、自動車事業のネットキャッシュは5,255億円となりました。

さらに、12月末現在の未使用のコミットメントラインも約2.1兆円維持しております。以上が、第3四半期及び4月から12月までの9ヶ月間の当社の実績であります。

以上の結果をふまえ、「NISSAN NEXT」により事業が回復しつつあるということに加え、将来の成長に向けた道筋ができていると信じております。

次に、内田から2020年度通期について、ご説明させていただきます。

2020年度 販売台数見通し

内田:当社は、昨年11月に今年度の年間販売台数を416万5,000台と発表しました。その後も、世界中で新型コロナウイルス感染は拡大し続け、日本においても感染者数が大幅に増加し、緊急事態宣言が発令されるにいたりました。

それに加え、自動車業界は世界的な半導体不足という課題に直面し、ニーズに見合う生産を行うことが困難な状況となっています。これらを勘案し、当社は今年度の販売台数の見通しを3.6パーセント下方修正し、401万5,000台といたしました。

当社は引き続き、半導体不足の影響を最小限に抑えるための対策に尽力するとともに、過度に台数を追わず、販売の質の向上や収益性の改善に注力してまいります。

2020年度 業績見通し①

続いて、今年度の業績見通しについてご説明いたします。第3四半期までの実績と最新の販売台数の見通しをふまえ、当社は今年度の業績見通しを次のとおり修正いたします。

前回見通しから販売台数が減少していることを反映し、連結売上高は前回見通し比3パーセント減の7兆7,000億円に修正いたします。

連結営業損失は、販売の質の向上、モノづくり、固定費等のコスト最適化による「NISSAN NEXT」の進捗を反映し、前回の見通しから1,350億円を改善した2,050億円となる見込みです。

当期純損失は、前回見通し比で850億円改善し、5,300億円に修正いたします。なお、当期純損失の改善幅が営業損失の改善幅より小さいのは、主に税金の増加によるものです。

2020年度 業績見通し②

昨年11月に発表した前回見通しの連結営業損失は3,400億円です。今回修正した2,050億円との増減分析は以下のとおりです。前回見通しからの販売台数の減少は570億円の減益要因となります。

台当たり販売奨励金や広告宣伝費の削減、販売構成の改善などを含む、販売におけるパフォーマンスは600億円の増益要因で、これによって販売台数の減少による減益分を打ち消します。

販売金融事業は、貸倒引当金の軽減や支払金利の低減などの効果によって、前回見通しから510億円の増益要因となる見込みです。

モノづくりパフォーマンス及びその他は、変動費の改善や固定費削減の進捗により、810億円の増益要因となります。

なお、「NISSAN NEXT」では、2019年度、2020年度の2年間で固定費を2018年度対比で3,000億円削減するという目標を立てましたが、最新の見通しでは、コロナウイルス感染拡大の影響によって一時的に減少したものや費用計上タイミングが遅れているものを除くと、3,300億円程度の削減になると見込んでいます。以上が、連結営業損失の増減分析となります。

新車攻勢:12の新型車を投入

今、ご説明しましたとおり、「NISSAN NEXT」は順調に進んでいます。グプタCOOからもお話しさせていただいたとおり、今年度投入した新型車がグローバルな販売回復を牽引しています。

先週、新型「パスファインダー」と「フロンティア」を発表しましたが、今後も「キャシュカイ」や「アリア」、そして「インフィニティQX55」や「インフィニティQX60」など、魅力ある商品を投入していきます。これからも多様化するお客さまのニーズにお応えすべく、適切なタイミングでお届けしていきます。

NISSAN NEXT のゴール

今後も先行き不透明な状況は続くと認識していますが、当社は引き続き、「NISSAN NEXT」の実行により、収益を確保した着実な成長、自社の強みに集中し、事業の質、財務基盤の強化をすること、「日産らしさ」を取り戻すことで、厳しい環境下でも事業のコアである商品の力でしっかりと収益を上げられる会社にしていきたいと考えております。

そして、アライアンスメンバー各社とも緊密な連携を図り、「NISSAN NEXT」のマイルストーンとしている2021年度比例連結ベースでの営業利益率2パーセントの達成へつなげていきたいと考えています。

2050年のカーボンニュートラルに向けて

同時に、当社はよりクリーンで持続可能な環境社会の実現に向けて取り組んでいきます。日産は2050年までにカーボンニュートラルを実現する目標を設定しました。そして、2030年代早期より、主要市場に投入する新型車をすべて電動車両とすることを目指します。

確固たる道筋をつけた日産「リーフ」、次世代のEVを牽引する「アリア」、そして、今後100パーセント電動駆動のe-POWER技術はヨーロッパの「キャシュカイ」や中国の「シルフィー」を皮切りに、次々とグローバルでラインナップを拡充していきます。

カーボンニュートラルの目標を達成するには、我々のDNAである革新と挑戦が欠かせません。これらの取り組みにより、将来の企業価値、ブランド価値を向上させていきたいと考えています。

最後に、本日発表させていただいた結果は、日産らしさを確立し、日産の新たな時代をつくり出そうとする従業員一人ひとりの強い決意、そして、サプライヤー、販売会社のみなさまの多大なるご協力によるものです。

1日でも早く、ステークホルダーのみなさんからの信頼回復を目指し、私たちは人々の生活を豊かにするためにイノベーションをドライブし続けてまいります。ご清聴、ありがとうございました。

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