「Cluhouseが中国にデータを送信している」件の実態について

最後に、「Clubhouse」が中国にデータを送信している件について、状況を整理していきます。

本件は、スタンフォード大学の付属機関である「Stanford Internet Observatory(スタンフォード・インターネット観測所/SIO)」が2/12に公開したレポート「Clubhouse in China: Is the data safe?」が発端です。

このレポートで、

  • 上海に拠点を置くリアルタイム・エンゲージメント・ソフトウェアのプロバイダーであるAgoraが、Clubhouseアプリにバックエンド・インフラを供給していることを確認
  • ユーザーの固有のClubhouse ID番号とチャットルームIDが平文(筆者注:暗号化せず、そのままの状態)で送信され、Agoraはユーザーの生の音声にアクセスできる可能性が高く、中国政府もアクセスできる可能性がある

の2点が公表されました。

このレポートに基づいた報道が行われた結果、Clubhouse側は「72時間以内」に対応する旨の声明を出していますが、その後の動向は不明です。

ユーザー入力のデータを利用・加工する第三者の(サードパーティー)システムを使用している場合、プライバシーポリシーおよび、アプリ内のクレジット表記で記載が必要になることがあるのですが、Clubhouseの場合、そのどちらの箇所にもAgoraについての言及がありませんでした。

更に、先述した「企業公式サイトが存在しない」点と併せて考えると、今後のサービス運営に懸念が増します。非上場とはいえ、注目が集まっている中必要な説明を行わない対応は誠実とは言えません。ユーザー側から見れば改善を求めるところでしょう。

参考資料

當瀬 ななみ