学費が高くて行きたい学部を諦める前に

ここまでで、学部ごとの学費を紹介してきました。「進学したい学部は見つかったものの、学費が払えない」そういった方もいるかもしれません。ここからは、そんな方に知ってほしい制度をまとめました。希望の進学先を変更する前に、確認してみましょう。

① 奨学金制度

大学卒業後に返還の義務がある「貸与型」と返還の義務がない「給付型」があり、家庭の年収などの条件で利用できる奨学金の種類が異なります。最も利用者数が多いのが「日本学生支援機構奨学金」です。

その他、地方自治体・民間営利団体(交通遺児育英会・あしなが育英会など)・私立大学独自で奨学金制度を設けていることも多くあります。

② 成績優秀者への学費免除制度

入試の時点で枠を設けている「特待生入試」、または成績上位者に自動的に奨学金を給付している一般選抜にチャレンジするという方法もあります。

前者は「給費生入試」・「スカラシップ入試」など大学ごとに名称が異なることもあります。

③ (医学部限定)地域枠制度

医師免許取得後、決められた都道府県の医療機関に一定期間従事すれば、奨学金が免除される制度です。出身地の指定があるもの(地元出身者枠)と指定がないものがあります。

ただし、地域枠制度は詳細を確認しましょう。もともと地域枠制度とは、地方における医師不足や診療科の数の偏りを解消することを目的とした制度です。そのため、勤務地の要件に離島やへき地などを指定しているものもあります。

また、地域枠を離脱する(就業期間半ばでの退職など)場合は、高額な学費を期間内に返済しなければなりません。その場合は10%程度の高利子がつくこともあります。めざすキャリアと条件が合っているかの事前確認が必要です。

このように、学費の負担を減らすことができる制度は複数あります。金銭的な不安が理由で、優秀な人材を逃してしまうことがないように、国や大学がさまざまな制度を作っていることがわかってもらえたと思います。積極的に活用したいですね。

まとめにかえて

これまでに多くの生徒の進路指導に携わってきましたが、「やりたいことが見つからない」という生徒がたくさんいました。「やってみたいことがある」というのは、当たり前のことではありません。興味のある学部がある方は、その気持ちを大切にしてください。

そのうえで、大学卒業までにかかる学費、利用できる制度をしっかりと把握し、経済的にも計画的な進路選択ができるよう応援しています。

参考資料

清水 まちこ