受給スタートを遅らせる「繰下げ受給」
さきほど、年金の支給開始年齢ば「原則」65歳であるとお伝えしました。
しかし、「繰り下げ受給」をすれば、最長70歳まで(2021年2月現在)受け取り開始時期を遅らせることができます。
この繰下げ受給の大きなメリットは、やはり「年金受給額の増額」といえるでしょう。
1941年(昭和16年)4月2日以降に生まれた人は、年金を受け取る時期を遅らせるほど、月単位で年金額がアップします。そのうえ、その増額率は生涯一定のままです。
気になる増額率は
増額率=(65歳に達した月から繰り下げ申出月の前月までの月数)×0.007
となっており、具体的な割合は以下のように算出されます。
繰下げ請求時の年齢と増額率
(1941年4月2日以後に生まれた方)
- 66歳0カ月~66歳11カ月・・・8.4~16.1%
- 67歳0カ月~67歳11カ月・・・16.8%~24.5%
- 68歳0カ月~68歳11カ月・・25.2%~32.9%
- 69歳0カ月~69歳11カ月・・・33.6%~41.3
- 70歳0カ月・・・42.0%
また、2020年5月に成立した「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」をうけて、2022年4月以降は75歳まで受給繰り下げが可能になります。これを先の計算式にあてはめると、最大で84%まで年金額が増えるという計算に。
【参考】
- 日本年金機構「年金の繰上げ・繰下げ受給」
- 厚生労働省「年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました」
早めに受け取る「繰り上げ受給」
受け取り開始時期を遅らせる「繰り下げ受給」とは反対に、時期を早める「繰り上げ受給」という手段もあります。
2021年2月現在、早めることができるのは「最短60歳」まで。年金を受け取る時期を早めるほど年金額は月単位で減額し、その減額率は一生変わりません。
その減額率は
減額率=0.005×繰上げ請求月から65歳になる月の前月までの月数
で表され、具体的な割合は以下の通りとなります。
繰下げ請求時の年齢と減額率
(1941年4月2日以後に生まれた方)
- 64歳0カ月~64歳11カ月・・・6.0~0.5%
- 63歳0カ月~63歳11カ月・・・12.0%~6.5%
- 62歳0カ月~62歳11カ月・・・18.0%~12.5%
- 61歳0カ月~61歳11カ月・・・24.0%~18.5%
- 60歳0カ月~60歳11カ月・・・30.0%~24.5%
「原則65歳」から受け取る年金ですが、このような繰り下げ受給や繰り上げ受給によって、受け取り開始時期を「60歳から70歳まで」の範囲で選ぶことができるのです。