年金支給を遅らせることで、年金受給額を増額させることができる「繰り下げ受給」。これは、老後の収入を増やす手段の1つとしてもよく知られています。
その反対に、年金受給を前倒しにする「繰り上げ受給」をした場合、私たちは「損」をしてしまうのでしょうか。それぞれの受給方法の内容や、「繰り上げ受給」の注意点について確認していきましょう。
年金のキホン「2階建て制度」のおさらい
まずは、年金の基本となる仕組みをおさえておきましょう。日本の年金のしくみは「2階建て」などとも呼ばれます。
1階部分「国民年金」
日本に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務
2階部分「厚生年金」
公務員や会社員などが「国民年金」に上乗せして加入
やがて老後を迎えると、厚生年金に加入していたサラリーマンや公務員は、1階と2階部分である「老齢基礎年金」+「老齢厚生年金」を、国民年金のみに加入していた自営業やフリーランス、専業主婦(夫)は、1階部分の「老齢基礎年金」のみを受給することになります。
この「国民年金」と「厚生年金」の支給開始年齢は、どちらも「原則」65歳です。「原則」とカッコでくくった理由を、次でお話していきましょう。