国民年金の被保険者は3種類、あなたはどこに属しますか?

現在、国民年金の被保険者(原則20歳以上)は、第1号被保険者(~60歳)、第2号被保険者、第3号被保険者(~60歳)の3種類となっています。

このうち、第2号被保険者とは、厚生年金被保険者と共済組合員等(公務員など)などを指しますが、ザックリ言うと「主に会社員(サラリーマン)」のことです。そして、第3号被保険者は、第2号被保険者の配偶者を指しますが、これもザックリ言うと「専業主婦(または専業主夫)」です。

そして、残る第1号被保険者は、第2号にも第3号にも属さない人ですが、具体的には、自営業者、アルバイト、フリーター、無職(学生含む)などを指します。

ちなみに、自営業者の配偶者(多くの場合は妻)は、第3号被保険者には該当せず、同じ第1号被保険者となります。また、サラリーマンの配偶者でも、働いて年収130万円以上の人は第3号被保険者にはなりません。これは、最近話題になっている「130万円の壁」ですね。

国民年金の保険料未納問題は主に第1号被保険者

このうち、ほとんどの第2号被保険者(会社員など)は、毎月の給与から保険料が天引き徴収されるため、保険料が未納となるケースは稀です。また、第3号被保険者は、保険料を納付する必要はありません。問題は、残る第1号被保険者です。

第1号被保険者の納付率はこの20年間で▲20%以上悪化

厚生労働省の発表資料によると、2015年度の国民年金の納付率は63.4%となり、前年度より+0.3ポイント改善しました(第1号被保険者対象、以下同)。納付率は2011年度(58.6%)をボトムに改善していますが、1990年代前半に約86%だったことを考えると、依然として低水準にあります。

なお、国民年金は過去2年分の納付(後納)が可能となっていますので、2年後に判明する2015年度の最終納付率は73%程度になると推察されます。実際、2013年度は当初の60.9%から最終納付率が70.1%になりました。

保険料未納者は約530万人と推計

こうした過去2年分の納付等を勘案すると、大雑把に言えば、約3割の人が未納となっています。なお、様々な事情で保険料納付が「免除」となっている人は、納付率にカウントされているため、この約3割の人は、正しく“納付すべき義務を果たしていない”ということになります。その数は約530万人と推計されます(第1号被保険者は約1,750万人、平成26年度)。

保険料未納は、後々に大きな後悔をする可能性

これは非常に由々しき事態です。過去の未納分で納付可能なものを含め、今すぐに納付手続きを取ってください。特に、扶養家族がいる方、とりわけ、小さな子供がいる方は、後々に大変後悔することになりかねません。

保険料未納の場合、将来に受け取る年金額が減る、あるいは受給できない等の事態が起きます。ただ、これは御自身の問題ですから、ある意味では“自己責任”、“自業自得”で済みます。問題は、不慮の事故などで死亡した時、及び、身体に障害が残った場合です。

「一定の保険料納付要件」で遺族基礎年金と障害基礎年金の受給対象に

国民年金は、「一定の保険料納付要件」を満たしていれば、1)死亡時には遺族基礎年金、2)障害が残った時は障害基礎年金が支給されます。

このうち、遺族基礎年金は、独身や夫婦だけの人には支給されませんが、子供がいる場合、その子供が18歳になるまで毎年支給されます。支給金額は子供の人数で変わりますが、妻と子供2人の場合は年間約125万円となり、全額が非課税になります。

また、不慮の事故で、不幸にも身体に障害が残る場合、家族構成とは一切関係なく、障害基礎年金が一生支給されます(注:例外あり)。また、18歳未満の子供がいる場合、その人数に合った加算額が上乗せされます。仮に、障害等級2級で子供が2人いる場合、年間約120万円が支給されることになり、これも全額が非課税です。

万が一の時のためにも、保険料納付は必要不可欠

支給年金額に対する見方は様々でしょうが、万が一の事態(死亡、障害)に対する国民年金制度は、相応に手厚いと考えていいでしょう。ただし、「一定の保険料納付要件」を満たしていない場合、遺族基礎年金も障害基礎年金も一切支給されません。

不慮の事故はいつ起きるかわかりません。実際、朝起きたら激しい頭痛を感じ、そのまま脳梗塞で半身不随になるケースなど決して珍しくないのです。

また、経済的事情で保険料納入が難しい人は、納付免除の手続きを受けるといいでしょう。納付免除が認められると、前述のような万が一の時に、それは保険料納付と同等の扱いになるからです。なお、「一定の保険料納付要件」は少し複雑になりますが、直近1年間に未納期間(月)がなければ、要件を満たします。これは、決して高いハードルではありません。

 

LIMO編集部