大分定着してきた“熟年離婚”という言葉。重荷だった相手とせっせと分かれて、自由に暮らすといったイメージがありますが、実際に自由に暮らせるものなのか、お金の心配はないのか、今一度考えてみましょう。

老後の収入といえば、年金と退職金です。離婚しても半分もらえるだろうと思ったら大間違いです。実際にいくらもらえるのかシミュレーションしてみましょう。その後に“離婚”について考えてみると、また違った答えが出るかもしれませんよ。

年金分割について知ろう!

公的年金には基礎年金と厚生年金があります。

たとえば、会社員の夫と専業主婦の場合、自分がもらえる年金は夫が基礎年金と厚生年金、妻は基礎年金だけであり、一緒に暮らす分には問題はありませんが、別れた時に、妻が基礎年金だけというのはあまりにも不公平です。婚姻期間中に築いた財産は夫婦の共有財産という考えから、厚生年金を分割してもらうことができるのが離婚時の年金分割制度です。

よく誤解されるのが、夫がもらう厚生年金の半分を受け取れると思ってしまうことです。

受け取れる厚生年金の額は次の式で大まかに知ることができます。

  • (厚生年金の受給額※)×(婚姻期間)÷(勤続期間)=分割の対象となる年金額

※基礎年金を含まない厚生年金の報酬比例部分。加入期間中の月収が一定と想定。

分割の方法

分割の方法には「合意分割」と「3号分割」があります。

合意分割

合意分割は、婚姻期間中に夫婦共に厚生年金の加入期間がある場合に、厚生年金の受給額が少ない方が多い方に分割を請求します。話し合い(決裂した場合は裁判)で割合を決めますが1/2が上限となります。

3号分割

3号分割は、2008年4月1日以降に国民年金第3号被保険者(専業主婦など)であった場合に、夫婦間の合意がなくとも、分割対象の年金額の1/2を受け取ることができる制度です。

2008年4月以前の第3号被保険者だった期間、または、厚生年金に加入していた期間については合意分割となります。

どちらも離婚成立から2年以内に請求する必要があるので、期限に気を付けましょう。