2020年の年末、東京地方労働組合評議会から発表された『東京都最低生計費試算調査結果』が大きな話題を呼びました。

『子どもが2人いる30代夫婦が東京で普通に生活するには「月額54万円」必要!』だというのです。

始めは「労働組合が賃上げ要求をしやすくするための記事だろう」と考えながら読み始めたのですが、あげられているデータには説得力があり、また都心部と郊外であまり差がないのも意外でした。

そこで今回は、

  • 月額54万円必要というのは本当なのか?
  • 30代世帯の平均年収
  • 赤字をカバーするための対策

といったことについてくわしくお伝えしてまいります。

「30代世帯月額54万円必要」は本当か?

掲載されているデータは食費一つ取っても、乳製品○○円、魚介・肉○○○円と食品ごとに単価を調べ、各年齢層の1日あたりの必要カロリーから1ヶ月の食費を算出しています。

その他にも住居費や教育費はもちろんのこと、マグカップの耐用年数が2年で価格は○○円など、非常に細かいところまで考慮されており、データの信憑性は高いといわざるを得ません。

月額54万円の内訳

以下は月額54万円の内訳です(東京都練馬区在住を想定)。

  • 30代夫婦と子ども2人(幼児・小学生)
  • 居住面積(賃貸)・・・42.5 ㎡

A消費支出(1~10)・・・39万8,739円

  1. 食費・・・11万2,558円
  2. 住居費・・・9万8,958円
  3. 光熱・水道・・・1万9,896円
  4. 家具・家事用品・・・1万556円
  5. 被服・履物・・・1万2,834円
  6. 保健医療・・・6,447円
  7. 交通・通信・・・3万1,058円
  8. 教育・・・2万8,417円
  9. 教養娯楽・・・3万597円
  10. その他・・・4万7,418円

B非消費支出・・・10万1,754円

C予備費・・・3万9,800円

最低生計費(税抜き)A+C・・・43万8,539円

D同上(税込み)A+B+C・・・54万293円(←1カ月に必要となる金額)

同上(税込み)D×12・・・648万3,516円(←1年に必要となる金額)

金額的なボリュームが大きいのは、

  • 食費
  • 住居費
  • 非消費支出(社会保険料+税金)

となっているため、節約するのであればこのあたりにメスを入れたいところです。
とはいえ、社会保険料などは今後上がることはあっても下がることは考えにくく、食費もかなり切り詰めて精査されている内容なので節約は厳しそうです。また、冒頭でも触れたように、都心部と郊外の差が少ないことから、郊外移住による住居費の削減も難しくなっています。