令和時代の「退職金制度」に望むこと

ジョブ型雇用で入社した方が退職金で不利益を受けないためには、ポイント制退職金制度の導入や、次の職場への「ポータビリティ制度」がある企業型DC(企業型確定拠出年金)採用の義務化が必要です。

「ポイント制退職金制度」の導入

ポイント制退職金制度とは、社員に対して

  •  属人的要素(年齢や勤続年数など)
  •  職務的要素(役職や評価、取得した資格など)

に応じてポイントを付与し、退職時にその合計ポイントに応じて退職金を支払うという仕組みです。

ほぼ属人的要素のみで決定されていた従来の退職金制度とは異なり、「会社への貢献度」を基準に退職金の額を決めることができるため、ジョブ型雇用のスキルを正当に退職金額に反映できるというメリットがあります。

また属人的要素と職務的要素の割合を変えることも可能で、職務的要素の比重を重くすれば、よりジョブ型雇用に適した退職金制度設計ができるというわけです。

「企業型DC」の義務化

企業型DCとは、会社が掛金を拠出し、社員が自身の判断で運用し、その運用された資金を将来退職金や年金として受取る仕組みです。

DC(確定拠出年金)には「ポータビリティ」という仕組みがあり、

  1. 企業型DC→企業型DC
  2. 企業型DC→iDeCo(個人型確定拠出年金)
  3. iDeCo→企業型DC

というように、企業から企業、企業から個人事業主に転職しても、それまでの年金を持ち出して続けることができるのです。

ただし転職した先の企業が企業型DCを採用していない場合は、「2」のパターンになってしまいます。

つまり社員が自分個人で掛金を出さなければならなくなってしまうため、企業に企業型DCの採用を義務づけるといった政策が今後望まれているのです。

さいごに

働き方改革、コロナ禍の影響によるテレワークの普及などをうけジョブ型雇用が注目される中、従来の退職金制度自体は寿命を迎えようとしています。

元々ジョブ型雇用との相性が悪いということもあり、今後ポイント制退職金制度の導入や企業型DCの義務化といった流れが期待できます。

自慢の槍1本をもって仕える主君を転々とした戦国武将のように、自分のスキルを活かして仕事のできるジョブ型雇用が普及してもらいたいと思います。

参考資料

アフィリエイテッドファイナンシャルプランナー(AFP)/JSA認定ソムリエ/元歌舞伎役者 杉浦 直樹