金融審議会市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」によると、これにはモデルとなる世帯があります。

夫65歳以上・妻60歳以上の夫婦のみの世帯がモデルケースとなっているのです。

同資料内の「第21回市場ワーキング・グループ厚生労働省資料」によれば、この世帯の毎月の収支は以下のようになっています。

  • 収入(主に年金):約20万9198円
  • 支出(主に食費):約26万3718円

毎月の赤字として計算すると約5万5000円となります。

この赤字分を年間で計算し、老後が30年続いたと仮定して出た金額が下記です。

  • 5万5000円×12ヶ月×30年=1980万円

この計算が老後2000万円問題の数字の根拠となった計算式なのです。

50代の平均貯蓄額はいくらか

老後2000万円問題からも分かるように、老後の貯金は2000万円以上が理想となることが分かります。

では実際に定年前の50代の方はいくら貯蓄を保有しているのかをみていきましょう。

2021年1月に発表された総務省による「家計調査報告(貯蓄・負債編)2人以上の世帯 2020年7~9月期」をもとに50代の貯蓄額をみてみましょう。

こちらのデータによると50代の方の平均貯蓄額は下記の通りとなっています。

貯蓄現在高平均は1786万円です。

貯蓄は現金以外に含まれるものがありますので、貯蓄の中身も見ていきましょう。

  • 通貨性預金:579万円
  • 定期性預金:489万円
  • 生命保険:409万円
  • 有価証券:247万円
  • 金融機関外:61万円

これに対して負債額は682万円となっており、貯蓄と負債を相殺すると純貯蓄額としては1104万円となります。

40代までは、貯蓄と負債を相殺するとほとんど貯蓄が残らない状況です。

50代になると教育資金や住宅ローンの負担が減り、支出の負担割合が小さくなります。その分貯蓄にお金を回しやすくなるということなのでしょう。