必要な老後資金、シンプルな計算で求めてみる

老後の収入と支出がある程度把握できたら、必要な老後資金を計算して求めることができます。ここでは、65~90歳までの25年間を老後と仮定して、老後資金を求めていきます。

(1)生活費の不足額を求める

受け取れる公的年金の額と1カ月の支出から毎月の不足額を求め、25年分でいくら不足するか計算します。日本年金機構によると、夫婦2人分の老齢基礎年金+厚生年金の標準的な年金額は22万円です(※3)。また、総務省の家計調査(2019年 ※4)によると、2019年の高齢夫婦無職世帯の平均消費支出は24万3,260円であるため、支出額は24万円とします。

  •  例 (22万円-24万円)×12カ月×25年=▲600万円

(2)備えるお金を求める

家の修繕費や車の買い替え、お葬式代、医療・介護費など、備えておくべき支出を合計します。

  • 例 300万円(家の修繕費用)+200万円(お葬式代)+500万円(医療・介護費)=1,000万円

(3)自分で準備する老後資金を求める

退職金などまとまった収入があれば引いて、自分で準備すべき老後資金を計算します。

  • 例 [600万円(生活費の不足額)+1,000万円(備えるお金)]-1,000万円(退職金)=600万円(自分で用意すべき老後資金)

この例であれば、老後資金として最低600万円ほど準備しておけば安心だといえます。これはあくまでも一例ですので、自分の世帯に当てはめて老後資金を求めてみてください。65歳までに目標金額を達成できるよう、資金作りのプランを立てていきましょう。

まとめ

老後資金を準備することは老後を安心して迎える上で必要不可欠ですが、漠然と「たくさんお金を用意しなきゃ」と思っていても不安は増すばかりです。実際に自分の世帯の老後資金を計算してみると、案外自分で用意するべきお金が少なく安心できるかもしれません。

まずは老後の生活をイメージして、具体的な目標金額を決めるところからはじめてみましょう。

参考資料

【ご参考】貯蓄とは

総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。

石黒 杏樹