高齢運転者による悲劇を防ぐために

2020年6月、改正道路交通法が公布されました。(2年以内に施行の予定)

今回の改正により、従来の認知機能検査や高齢者講習などに加え「運転技能検査(実車試験)」が導入されます。

75歳以上で、一定の交通違反がある人は、運転免許更新時に実際に車を運転し、技能の確認を受けなければなりません。不合格だと、更新はできないため、従来よりも厳しい仕組みとなるでしょう。

安全運転サポート車(サポカー)限定免許の創設

運転できる自動車の種類を、自動ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置等の、先進安全機能を備えたサポカーに限る免許が創設されます。

65歳以上の高齢者を対象に、サポカー購入の補助金も創設される予定です。

免許の自主返納

有効期限の残っている免許証を、本人の意思(申請)により返納することを自主返納といいます。

免許証を返納する代わりに、運転経歴証明書を交付してもらうことが可能で、本人確認の際などに使用できます。

「事故を起こす前に免許証を返納する」ことは、高齢者本人や周囲の人の命を守ることにつながるため、有効な手段といえるでしょう。

自主返納は、高齢者本人のプライドがあったり、家族での話し合いがうまくいかなかったりする場合もありますが、まずはどのくらい機能が衰えているのかを確認することも重要です。

JAFによる「エイジド・ドライバー総合応援サイト(高齢ドライバー向けウェブトレーニング)」などを活用してもよいかもしれませんね。

地域サービスの充実・移動手段の確保

免許証の自主返納を後押しする声も多いですが、地域によっては、車がないと生活できない場所もあるでしょう。

現在、国土交通省が中心となり、持続可能な地域公共交通ネットワークの形成に向けた取り組みを進めています。

地方公共団体による、地域公共交通計画等の策定や、鉄道・バス路線などの確保、充実の取り組みに対し、予算・ノウハウ面で必要な支援をおこなうとしています。

また、中山間地域において、道の駅などを拠点とした自動運転サービスの実現に向けて、実証実験が行われている状況です。

さいごに

高齢者の運転は危険を伴うことが多く、事故のニュースが後を絶ちません。

しかし、地域や生活スタイルにより、一概に「運転をやめなさい」とはいえない状況しょう。「車がなくても普通の生活ができる」環境をつくらなければなりません。

現在、さまざまな対策が練られていますが、早急な実施や制度(サービス)の充実が求められています。

参考資料

鈴木 咲季