会社員に比べ老後は安泰なのか
一方で会社員はというと、いわゆる大企業の退職金の平均額は「22,558千円」(大学卒業後直ちに入社し、その後標準的に昇進・昇格した「管理・事務・技術労働者(総合職)」の 60 歳退職者の場合:日本経済団体連合会「2018 年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」となっており、その水準は公務員と肩を並べるような状態です。
実は国家公務員の退職金の水準に関しては退職給付の官民均衡を図るため、約5年ごとに行う民間企業の企業年金及び退職金の実態調査を踏まえて見直しが実施されています。景気の影響を受けず安泰だと思っていた公務員ですが、実は民間企業とある程度の足並みを揃えていく必要があり、民間企業の退職金水準が下がればそれに合わせて公務員の退職金も下げざるを得ないということなのです。
2017年1月、自分で年金を作ることができるという国の制度iDeCoに、それまで加入対象ではなかった公務員も加わることとなりました。公務員だから安心・安泰というわけではなく、退職金の官民均衡などの実情に鑑み、退職金が万が一下がってしまってもしっかりと老後生活を送れるよう、会社員と同じように老後資金の準備を始めて行く必要があるのではないでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「平成30年就労条件総合調査―退職給付(一時金・年金)の支給実態」
- 内閣人事局「平成30年度退職者に関する退職手当の支給状況」
- 総務省「地方公務員給与の実態」第9表の2「団体区分別、職員区分別、退職事由別、年齢別退職者数及び退職手当額(定年退職―再掲)」
- 日本経済団体連合会「2018 年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」
多田 秋