言葉がなかなか出てこなかったり集団行動ができなかったり…。そんな我が子を見て「もしかして、発達障害なのでは?」と感じた経験がある保護者も、実は少なくありません。NHKの番組内でおこなわれたアンケート調査によると、「我が子の発達障害を疑ったことがある」と答えた保護者は35%となっています(※)

そこで今回は、発達障害の一種であるADHD(注意欠如・多動症)の息子を育てる筆者が、発達障害かどうかを把握する注目ポイントについて、母親目線でお伝えします。

(「発達障害者支援法」によると、発達障害とは「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定められています。またこの記事上で取り上げているポイントは、発達障害を診断するためのものではありません。発達障害の診断については、医師や専門医にご相談ください。

発達障害は誰が診断する?

発達障害を診断するのは、発達に関する知識や経験が豊富な医師や専門医に限られます。インターネット上では「発達障害チェックリスト」などで簡単に発達障害の可能性を調べられるツールなども出てきていますが、チェックリストだけでは発達具合を詳細に見極めることはできません。

筆者の息子は5歳2カ月頃、大学病院の小児脳神経科の医師によりADHD(注意欠如・多動症)と診断されました。発達検査や専門医師との面談が初めてだった筆者は「どんなことをするのだろう」「何を聞かれるのだろう」と不安に感じていましたが、実際は子どもが受けるペーパーテストと親子での面談のみ。

面談では普段の様子を聞かれるだけで、特にこれといって目新しい検査などはありませんでした。筆者は「本当にこれで診断につながるのか?」と疑問に感じていましたが、様々な知識をつけた今なら「なぜ診断が淡白なのか」がよく理解できます。

専門機関への紹介=「相談が必要な状態」?

筆者の経験上、我が子の発達に疑念を抱いてから専門機関へ受診が決まるまでに、保育園の園長と面談したり市区町村の発達相談会を訪れたりしました。

これらの施設では発達障害の子どもと幾度となく関わってきたプロが常在しており、子どもの様子を見ながら「医療機関や専門機関への受診をすすめるかどうか」を見ているのです。

この時点で「さらなる精密検査や専門機関への受診が必要」と判断されるということは、すなわち「発達に何らかの遅れがあることが懸念されている」と捉えられるでしょう。たとえ発達障害ではなかったとしても、専門家への相談はした方がよいということだと考えます。

これこそが「医療機関での診断内容が淡白」と筆者が感じた理由です。あくまでも我が家の場合ではありますが、保育園の園長先生や多くの発達障害を抱える子どもを見てきた人にとっては、我が子の発達になんらかの問題があると気づいていたのだと思います。