2021年2月1日に行われた、株式会社あおぞら銀行 2021年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社あおぞら銀行 代表取締役社長CEO 谷川啓 氏
株式会社あおぞら銀行 取締役専務執行役員CFO 芥川知美 氏
第3四半期決算ハイライト
谷川啓氏(以下、谷川):あおぞら銀行社長の谷川でございます。本日はお忙しいところあおぞら銀行ネットコンファレンスにご参加いただきまして、誠にありがとうございます。また、投資家、アナリストのみなさま方には、日頃より大変お世話になっております。さまざまなかたちで感染症の影響を受けておられますみなさまに、心よりお見舞いを申し上げます。
それではまず、私から第3四半期決算の概要、資料に基づきましてポイントのご報告をさせていただきたいと思います。当期におきましては、個人・法人のお客さまとの顧客ビジネスが、第2四半期に引き続きまして更に好調に推移いたしました。この結果、連結業務純益は、通期業績予想に対しまして86パーセントの進捗というかたちになっております。
また、引き続きポートフォリオのクオリティ向上および保守的な引当方針を継続しておりますが、第3四半期の与信関連費用、これは期初計画の範囲内ということで、通期につきましても期初計画の水準の見込みになっております。
親会社株主純利益は、通期業績予想に対しまして77パーセントと順調に進捗をしております。
当期の実績を踏まえまして、第3四半期の配当につきましては、第1、第2四半期と同様に、1株当たり年間配当予想122円の4分の1にあたります1株当たり30円と決定をいたしました。
今後とも着実な実績を積み重ねることによりまして、安定的な配当を実施してまいります。引き続きご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。それでは、CFOの芥川よりご説明を申し上げます。
損益の概要
芥川知美氏(以下、芥川):はい。芥川でございます。投資家、アナリストのみなさまには、日頃より大変お世話になっております。本日公表いたしました決算概要に沿ってご説明を申し上げます。資料の2ページ、損益の概要をご覧ください。
当期のトップライン、連結粗利益は前年同期比58億円減少し691億円、経費は16億円増加し397億円、連結実質業務純益は297億円となりました。ボトムライン、親会社株主純利益は、前年同期比77億円減少し220億円となりました。
連結粗利益、連結実質業務純益、親会社株主純利益は、それぞれ通期業績予想に対し76.9パーセント、86.1パーセント、77.2パーセントと順調な進捗となっております。
資金利益
それでは、以下、個別項目についてご説明いたします。資料の3ページをご覧ください。資金利益につきましては、資料では貸出平残の増加や外貨調達コストの低下等により、前年同期比11億円増加し382億円となりました。
資金利鞘
続きまして4ページ、資金粗利鞘は、外貨ETFの配当金や投信の分配金が減少したことなどから、前年同期比5ベーシスポイント縮小し1.12パーセントとなりました。
一方、貸出金利鞘は、上期同様、ドル-円のベーシスコスト低下が寄与し、前年同期比11ベーシスポイント改善しております。
非資金利益
次に、5ページをご覧ください。非資金利益は309億円となりました。第1四半期は、一部のビジネスにおきましてマイナスの影響がございましたが、個人・法人のお客さま関連ビジネスを中心に順調に回復いたしまして、第2四半期・第3四半期と増加傾向が続いております。
非資金利益 ー役務取引等利益・特定取引利益ー
6ページをご覧ください。役務取引等利益は87億円となりました。貸出関連手数料は、第1四半期はやや低調でございましたが、LBOファイナンス案件の取組みなどによりまして、第2四半期、第3四半期と着実に増加し、例年並みの水準に回復しております。
特定取引利益は66億円となりました。第2四半期以降、個人のお客さまへの仕組債の販売や、これに伴うトレーディング業務も好調に推移するなど、全体として回復基調にございます。
非資金利益 ーその他業務利益(国債等債権損益)ー
7ページをご覧ください。国債等債券損益は、第1四半期を中心に米国債やモーゲージ債の機動的なオペレーションを行ったことにより、127億円の利益となりました。
評価損益も3月末比634億円改善し、448億円の評価益となっております。
非資金利益 ーその他業務利益(除く国債等債権損益)ー
続いて、8ページをご覧ください。国債等債券損益を除くその他業務利益は27億円となりました。そのうち組合出資損益につきましては38億円の実績でした。
なお、すでに第4四半期に取り込みが確定している利益がございまして、通期ベースでは、例年と比べ遜色のない実績が期待できると考えております。
持分法投資損益、株式等関係損益
9ページをご覧ください。6月に出資したOCBに係る持分法投資損益と株式等関係損益を記載しております。持分法投資損益は、第3四半期は2億円の収益計上となりましたが、今年度は合わせて10億円程度の収益を見込んでおります。
株式等関係損益は、第3四半期に実施いたしました外国株式の売却などによりまして、23億円の利益となっております。
経費
続きまして、10ページをご覧ください。経費につきましては、昨年9月のニューヨーク現地法人の開業などに伴いまして、前年同期比16億円増加し397億円となりました。期初の通期計画に対する進捗率は、71.0パーセントとなっております。
この結果、OHRも通期計画62.2パーセントに対し57.5パーセントとなりました。
与信関連費用
与信関連費用は17億円の費用となりました。第3四半期においては、アジアの個別与信先の格下げに伴う個別貸出引当金の増加、北米コーポレートローンのリバランスの決済に伴う債権売却損の計上、大口案件の取組みに伴う一般貸倒引当金などによりまして16億円の費用計上となりました。
なお、通期の与信関連費用につきましては、期初計画の策定時にクレジットコスト比率で10ベーシス程度、金額ベースで20~30億円の費用計上を想定しておりましたが、現状の見通しもこの計画レベルであり、変更はございません。当期の貸出金全体に対する貸倒引当金の比率は1.71パーセントとなりました。
なお、海外貸出に対する貸倒引当金の比率は約2.6パーセントとなっております。
金融再生法開示債権(単体)
12ページをご覧ください。金融再生法開示債権は、先ほど申し上げましたアジアの個別与信先の格下げに伴う危険債権の増加によりまして、9末比28億円増加しておりますが、前3月末比では14億円減少しております。開示債権比率は0.94パーセントとなりました。
調達
次に、バランスシートにつきまして14ページ以降でご説明いたします。まず、調達についてでございますが、一昨年7月にサービスを開始した「BANK支店」を中心に、個人のお客さまの預金残高が拡大し、コア調達は前3月末比約3,100億円増加しております。
貸出 ー全体・国内業種別ー
続きまして、15ページをご覧ください。貸出金のうち国内貸出につきましては、大口の不動産案件の回収があった一方、新規のLBOローン等の積み上がりもあったことから、全体としては、前3月末比107億円増加しました。9末対比では264億円の増加となっております。
貸出金利鞘は、高付加価値案件の積み上がりにより、前3月末比上昇しております。
貸出 ー海外向けー
海外貸出につきまして、16ページをご覧ください。上期に北米コーポレートローンのリバランスを実施するとともに、第3四半期に想定どおり海外不動産ノンリコースローンの回収が進みましたことから、海外貸出は円高の影響も含めまして1,145億円の減少となりました。海外向け貸出比率は34.0パーセントとなっております。
今後も機動的にポートフォリオをコントロールしつつ、良質の新規案件の積み上げを図ってまいります。
貸出 ー北米向けコーポレートローンー
17ページは、北米向けコーポレートローンの状況でございます。当行の北米コーポレートローンの格付け分布につきましては、レバレッジドローンのマーケットインデックスと比べますと、シングルB格以下の割合は少なく、投資適格の割合が多いポートフォリオとなっております。
また、当行のポートフォリオでは、前3月末比BB格以上の割合が増加しておりまして、リバランスの実施により、貸出ポートフォリオの質が改善していると考えております。
貸出 ー海外不動産ノンリコースローンー
18ページに、海外不動産ノンリコースローンの状況をまとめております。米国の主要都市のオフィス物件を中心とする構成となっておりまして、残高は前3月末比255億円、9末比では190億円減少しております。
米国オフィス物件の平均稼働率は、9末比1パーセント程度低下している状況でございますが、当行では案件取り上げ時のガイドラインとして、原則LTVを65パーセント以下のローンを対象としており、相応のクッションがあること、加えて保守的な引当も行っていることから、ある程度の価格下落には対応できると考えております。
しかしながら、米国オフィスにつきましては、中長期的に見た場合、不透明さが増していると認識しておりまして、各物件のモニタリングを一層強化し、慎重な運営を継続してまいります。
貸出 ー国内不動産ノンリコースローンー
以上、19ページをご覧ください。国内不動産ノンリコースローンにつきましては、東京、首都圏のオフィス、住宅、倉庫物件が中心でございまして、LTV70パーセント以下のローンが9割弱を占めるポートフォリオとなっております。
こちらにつきましても、引き続き各案件の状況に留意して運営をしてまいります。
有価証券
次に、資料20ページをご覧ください。有価証券は前3月末比1,732億円増加いたしました。先ほどもコメントさせていただきましたが、当期末の評価損益は、3月末比634億円改善しております。
有価証券 ーリスク・ネット損益ー
21ページ、こちらの右側の折れ線グラフで、実現損益と評価損益の増減を合算したネット損益をお示ししておりますが、順調な推移となっております。
足元、ボラティリティの上昇によりVaRが増加しておりますが、引き続きリスク分散を通じた安定的な収益の確保を目指してまいります。
主要業績指標
次に、22ページをご覧ください。中期目標を設定しているKPIにつきまして、実績をお示ししております。OHR、業務純益ROA、ROE、こちらの3指標とも主要行の平均を上回っております。中期目標の達成に向けて、一層の効率性、収益性の向上を目指してまいります。
GMOあおぞらネット銀行(GANB)
次に、23ページをご覧ください。GMOあおぞらネット銀行については、現在法人のお客さま向けサービスに注力しているところでございますが、法人顧客数が順調に増加しているほか、API接続契約数も大きく増加するなど、成果が現れつつあります。
四半期ごとの粗利益は、左上のグラフのとおり、拡大基調で推移しております。先行投資により業務純益はマイナスとなっておりますが、今年度の業務純益は当社の計画を上回って推移しております。
顧客基盤の拡充に資する商品、サービスの導入、他社との提携も積極的に展開することにより、今後もビジネスを拡大し、収益力の成長を加速させてまいります。
配当の状況
最後に、24ページをご覧ください。冒頭、社長の谷川からコメントありましたとおり、第3四半期の1株当たり配当金につきましては、ボトムラインの進捗状況を踏まえ、年間配当予想122円の4分の1、第1四半期、第2四半期と同額の30円と決定しております。私からの決算の説明は以上でございます。