株を買って値下がりすると売れない投資家

本の場合には、「買った代金がもったいない」と考える人が多いのでしょうが、実は「このまま読まないと、この本を買った自分が馬鹿だったということになってしまう。そんなのは嫌だ」という考えも混じっているはずです。

それが明確にわかるのが、「投資初心者は損切りが下手だ」という事実です。買った値段より株価が下がると、「今売ったら損が確定してしまうから、売りたくない」と考えて売らずに持っている初心者が多いのです。

行動経済学では「人間は儲かった喜びよりも損した悲しみが2倍に感じるから損をしたくないのだ」と説明していますが、それだけではないはずです。「こんな株を買った自分が馬鹿だった」と思いたくないのです。

株券の入った福袋があったとして、中に入っていた株券が値下がりしたとしても、売りたくないという気持ちは強くないでしょう。自分が馬鹿だったから損をしたのではなく、運が悪くて損をしただけですから。

投資の初心者に言いたいです。1000円で買った株が800円に値下がりした場合も500円で買った株が800円に値上がりした場合も、売るか否かを決める際に考えることは「今から新しく株を買うとして、その銘柄を買うか?」ということだけなのです。

失敗したプロジェクトから撤退できない会社

会社の仕事でも、「損切り」できずに損失を拡大してしまうケースは多いでしょう。

新薬開発が7割まで進んだ時に、ライバルが画期的な新薬を発表したとします。「このまま開発が成功しても、ライバルの製品には勝てないので、売れないだろう」と思っても、「開発をやめたら、これまで費やしてきた開発費用が無駄になる」と考えて開発を続けてしまうことは、ありそうです。