「老後生活は、自分たちの年金や貯蓄でやりくりするもの」というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。しかし、なかには年金だけで生活できず、子ども側が不安を抱えているケースも珍しくありません。
ネット上でも、「老齢になった自分の親が、年金をほとんど貰っていないことが判明した」「いつかは、子である自分が援助をしないといけないかも」といった悩みが見受けられます。
なぜ、このような状態に陥ってしまうケースがあるのでしょうか。その原因と対策をみていきましょう。
年金の「平均受給額」と「金額の分布」
子どもの側である現役世代のなかには、将来受け取る具体的な年金額を把握していない方も多いのではないでしょうか。そこで、まずは厚生労働省の「令和元年(2019)度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、現在の年金事情をのぞいてみましょう。
このデータによると、厚生年金に加入している人の平均年金月額は、全体で14万4268円(うち男性が16万4770円、女性が10万3159円)となっています。
また、国民年金に加入している人、もしくは専業主婦(主夫)がもらえる平均年金月額は全体で5万5946円(うち男性が5万8666円、女性が5万3699円)でした。
この金額をみて、「周りはこれだけもらえているのに、なぜうちの親は低年金なんだろう」と疑問に感じた方もいることでしょう。ではここで、厚生年金、国民年金それぞれの金額の分布もみていきます。厚生年金保険(第1号)(※1)と、国民年金の老齢年金の年金月額階級別受給権者数(2019年度末)の受給権者数の分布をみていきます。
厚生年金保険(第1号)老齢年金の年金月額階級別受給権者数(2019年度末)
- 5万円未満 … 46万6077人(2.92%)
- 5万円以上10万円未満 … 331万8045人(20.75%)
- 10万円以上15万円未満 … 479万6376人(30.00%)
- 15万円以上20万円未満 … 478万2847人(29.92%)
- 20万円以上25万円未満 … 231万2667人(14.47%)
- 25万円以上30万円未満 … 29万2942人(1.83%)
- 30万円以上 … 1万8005人(0.11%)
国民年金の老齢年金の年金月額階級別受給権者数(2019年度末)
- 1万円未満…7万8940人(0.24%)
- 1万円以上2万円未満…30万5498人(0.93%)
- 2万円以上3万円未満…96万2046 人(2.92%)
- 3万円以上4万円未満…297万367人(9.00%)
- 4万円以上5万円未満…470万5988人(14.26%)
- 5万円以上6万円未満…766万5866人(23.24%)
- 6万円以上7万円未満…1448万1778人(43.89%)
- 7万円以上…182万1629人(5.52%)
どちらも、平均年金月額から離れたゾーンに該当している人が存在します。なかには、厚生年金が5万円未満、国民年金が3万円未満というケースも。このように、十分な収入とはいえない低年金の人も一定数いるのが現状なのです。
(※1)厚生年金(第1号)
厚生年金保険の被保険者のうち、民間の事業所に使用される者。(企業年金連合会HPより)