1月25日、「イオン従業員 出勤45分前から喫煙禁止に」(日テレNEWS24)という記事が発表され話題を呼びました。会社による規制はどこまで有効なのでしょうか?私、弁護士齋藤健博が解説いたします。

「出勤45分前から喫煙禁止」は違法?

同記事によると、

イオンは、勤務時間中を禁煙にするほか、出勤前や休憩から職場に戻る前の45分間もたばこを吸うことを禁止にします。

とのことなのですが、これは違法性がないのでしょうか?

会社の内規・通達の違法性の問題です。会社の禁止事項は基本的に就業規則といって、社員が順守すべき事項を定めていることが多いのですが、実は、適宜自主的なルールを新規で作成できるとされていることが多いのです。広い裁量・権限に基づいて判断しているはずなので、そこに服する社員側は、違法とまではいえないと判断されがちです。

今回の主だった規制の狙いは、出勤前や休憩、職場に戻る前の45分間も喫煙禁止を要求する以上は、顧客等の施設利用者や非喫煙者である社員等に副流煙を絶対に吸わせない狙いがあるように思われます。一方で、後に指摘するように、喫煙者それ自体を排除してしまいたい狙いもあるように思われますし、場合によっては意にそぐわない働き手を排除する狙いもあるのかもわかりません。

反論したい場合、どうすれば?

個人が反論する場合は、何の権利を主張するなど、どのように反論すればいいのでしょうか?

喫煙の自由は個人の自己決定にゆだねられています。会社が、過度にこれを規制している、と主張することになりましょう。会社との雇用契約のみならず今回の規制はアルバイトや業務委託の形態で関与する方にもかかわってくるように思われます。

そうすると、範囲が過度に広範であるとか、仮に規制自体が許されるとしても、出勤前や休憩時間をも規制しているのは規制範囲が広範である、いわゆる行き過ぎであるとの主張はあり得ましょう。

労働時間外、45分に限定しているのだと反論も想定されますが、一方で、就業時間外の行為まで規律する規制には疑問が生じるのも理解できます。

参考資料

齋藤 健博