迫りくる老後に戦々恐々としているのは、老後が目前の50代や60代だけではありません。

はたらく世代である20代から40代の世代にとっても、少なくはない年金保険料を毎月収めているわけですから、老後にいくらもらえるかは、大変気になるところです。

現在、65歳から年金を受け取ることが可能ですが、受給開始年齢を65歳より前倒しした場合、つまり繰上げ受給をした場合ですと、年金が最大30%減額にはなりますが、65歳より早く受け取ることができます。

逆に、65歳より遅く受け取り始めた場合、つまり繰下げ受給をした場合ですが、最大42%増額した年金が受け取れるようになっています。

令和2年5月に「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」が成立したことで、令和4年4月から年金の繰り下げ受給が75歳まで可能となりました。

この改正により、最大84%増額した年金を受け取ることができるようになります。

繰り下げの延長など制度改正が進んでいることからわかるように、これからの年金受給者である私たちは、工夫しながら年金を受け取ることや、できるだけ長く働くことが求められているのかもしれません。

今回はFP(ファイナンシャル・プランニング技能士)の視点から、現在支給されている厚生年金と国民年金の受給額を確認しつつ、将来に向けたお金の増やし方について解説します。

老後に受け取れる国民年金はいくらか

厚生労働省年金局が公表している「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、厚生年金と国民年金の受給額を確認していきましょう。

まずは自営業、フリーランスの人などが受け取っている国民年金ですが、資料によると、平均年金月額は5万5946円となっています。

毎月の生活費から逆算しても、国民年金だけで生活するのは厳しそうです。

次に、受給額ごとの人数を確認してみましょう。

  • ~1万円未満:7万8940人
  • 1万円以上~2万円未満:30万5498人
  • 2万円以上~3万円未満:96万2046人
  • 3万円以上~4万円未満:297万367人
  • 4万円以上~5万円未満:470万5988人
  • 5万円以上~6万円未満:766万5866人
  • 6万円以上~7万円未満:1448万1778人
  • 7万円以上:182万1629人

国民年金を満額で受け取ると、月額65,141円(令和2年4月~)となります。受給額の差はあったとしても、現在の満額6万円から上下数万円程度の差ですし、そもそも受け取れる金額自体も大きい額ではありません。

むしろ国民年金を受け取った上で、老後の生活費をその他の資産で、いかにカバーするかを考えることが必要かと思います。