東京都の高校出身者は首都圏を出ない
前述の「令和2年度学校基本調査」では、全日制や定時制の高等学校や中等教育学校後期課程を卒業した学生(浪人生も含む)の大学(学部)・短期大学(本科)への進学率が、2020年度に58.6%の過去最高を記録したことが示されています。
一方、東京都の「令和2年度 学校基本統計(学校基本調査報告書)」によると、東京都の2020年3月卒業者(浪人を含まない)の大学・短期大学への進学率は66.8%となっています。そして、この東京都の高校出身者の多くが首都圏の大学へ進学しています。
令和2年度の東京都における大学進学者数7万7773人のうち、東京都の大学へ進んだのは5万1659人、首都圏に規模を広げると7万2784人。実に93.6%が1都3県の大学に進学しているという状況です。
全国には795校の大学があり、東京都には143校が設置されています。このように、東京には様々な大学があるため、東京在住なら「この大学の○先生に学びたい」「この学部学科にに進みたい」「国公立大学の医学部を目指す」という大きな理由がない限り、地元から飛び出さなくても進学する上で問題のない環境と言えます。
その一方で、コロナ禍による感染の不安や、オンライン授業に切り変わったことによる勉学上、生活上の問題が多々指摘されています。そのため、東京の大学を目指す動きが鈍り、地方の子どもが上京せずに地元に残ることは十分考えられます。東京都内の大学は”首都圏の大学”というローカル化がますます進むのかもしれません。