中小企業の退職給付制度のリアル
先ほどご紹介したのデータでは、企業規模が小さいほど、退職給付制度が「ない」企業が多くなっています。
さらに「中小企業」にフォーカスを当ててみると・・・
東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)(※)」(2020年)に興味深いデータがあります。
※ 従業員10~299人の東京都内の中小企業を対象に実施した調査の回答がまとめられたものです。
同資料によると、調査に回答した1407社中、退職金制度が「ある」と答えた企業は、全体の65.9%にあたる927社となっています。
また、退職金制度そのものが「ない」と回答した企業は20.9%。大手企業を含む先述の厚生労働省の調査結果と比較しても、退職金制度が「ない」という中小企業の割合は高いことがわかります。
ちなみに、「退職金制度がある」という中小企業の回答の内訳をみると
- 退職一時金のみ:666社(71.8%)
- 退職一時金と退職年金の併用:216社(23.3%)
- 退職年金のみ:45社(4.9%)
となっています。
さいごに
退職金制度は、勤続年数・学歴・企業規模といった要素の影響を受けやすいことがおわかりいただけたかと思います。
年功序列、終身雇用制といった、これまで「当たり前」だったのシステムの存在感が弱まるこんにち。副業解禁の流れや、長期化するコロナ禍への不安・・・。
こうした実情をふまえると、転職や再就職先を選ぶ際の条件として、勤続年数や企業規模といった要素の影響を受けやすい「退職金」だけに着目する必要は、今後低下していくことが考えられそうです。
さらにいうと、定期的な昇給や退職金受給を前提とした「会社任せのマネープラン」からは脱却すべき時代がきているのかもしれません。
人生100年時代、老後は長いです。ゆとりあるリタイヤ後の生活に繋がる「お金の計画」。ぜひ若い頃から先手先手で始められることをおすすめします。
参考資料
- 「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」厚生労働省
- 「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」東京都産業労働局
LIMO編集部