年功序列制度が崩壊したといわれるこんにちも、日本では年齢が上がると年収や貯蓄額が増える傾向がみられます。
結婚や出産、住宅ローンの利用、定年などのライフイベントはある程度発生する時期が決まっているので、年代によって貯蓄額や負債額といった、お金事情が変化することを多くの人が実感しているのではないでしょうか。
今回は、20~70代以上の各世代の貯蓄額や、「貯蓄の中身」についてながめていきます。
まず「貯蓄額」とは?
貯蓄と聞くと金融機関への預貯金をイメージする人も多いかもしれませんね。預貯金以外の保険や有価証券といった金融資産も「貯蓄額」に含まれます。
貯蓄とは
総務省の「用語の解説」によると、
貯蓄とは、
「ゆうちょ銀行,郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構,銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金,生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式,債券,投資信託,金銭信託等の有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価,債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と,社内預金,勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいう。なお,貯蓄は世帯全体の貯蓄であり,また,個人営業世帯などの貯蓄には家計用のほか事業用も含める」
となっています。
参考:総務省「家計調査(貯蓄・負債編)用語の解説」
「世代別」お金事情。自分はフツー以上?以下?
では、総務省が公表している、「家計調査報告(貯蓄・負債編)2019年(令和元年)平均結果(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)」の調査結果から、二人以上勤労者世帯の貯蓄額、そして、貯蓄額とは切り離して考えることができない「負債額」の平均を、世代別に追っていきます。
【用語説明】通貨性預金と定期性預金
総務省の「用語の説明」によると、通貨性預金とは普通預金や当座預金、通知預金など出し入れの自由な預金です。一方、定期性預金とは、定期預金や積立定期預金、定期積金など一定期間預け入れておくものを指します。
参考:「用語の説明(IX. 貯蓄・負債現在高)」総務省統計局
20代以下のお金事情【貯蓄額は一番少なめ】
20代以下の平均貯蓄額は357万円、平均負債額は885万円です。全世代で一番貯蓄額が少ないのが20代以下です。
20代以下の貯蓄額の内訳は以下の通りです。
金融機関
- 通貨性預金・・・180万円
- 定期性預金・・・55万円
- 生命保険など・・・92万円
- 有価証券・・・17万円
金融機関外・・・12万円
30代のお金事情【一番負債額が多い世代】
30代の平均貯蓄額は721万円、平均負債額は1417万円です。住宅ローンを組む人が多いこともあって、全世代で一番負債額が高くなっています。
貯蓄額の内訳は以下の通りです。20代以下に比べると全体的に金額が上がっていますが、その中でも通貨性預金が大きくアップしています。
金融機関
- 通貨性預金・・・357万円
- 定期性預金・・・147万円
- 生命保険など・・・131万円
- 有価証券・・・56万円
金融機関外・・・31万円
40代のお金事情【貯蓄と負債がほぼ同じ】
40代の平均貯蓄額は1057万円、平均負債額は1120万円です。30代よりも負債額が減り、貯蓄額は1000万円を超えています。
貯蓄額の内訳は以下の通りです。通貨性預金は30代とさほど変わりませんが、定期性預金が大きく増えています。
金融機関
- 通貨性預金・・・389万円
- 定期性預金・・・278万円
- 生命保険など・・・225万円
- 有価証券・・・102万円
金融機関外・・・62万円