平成29年12月に厚生労働省がまとめた「人生100年時代構想会議 中間報告」に、衝撃的な内容が記されています。

ある海外の研究を基にすると、2007年に日本で生まれた子供の半数は107歳より長く生きると予想されていて、日本は健康寿命が世界一の長寿社会を迎えているというのです。

皆さん、これを聞いてどう思いますか。

ひょっとしたら「たくさん生きられて嬉しい」と感じる人よりも、「そんなに長く生きなくてはいけないのか」と、老後を不安に思う人の方が多いかもしれません。

うんと頑張って70歳まで働いても、そのあと30年も老後生活があることを想定すると、どれくらい貯蓄をすべきか悩む人も多いのではないでしょうか。

私は大学卒業後、信用金庫での勤務経験があり、FPの資格を持つファイナンシャルアドバイザーとして、多くの方のファイナンシャルプラニングに関わってきました。

そこで今回は70代の平均貯金額を見ていきながら、老後への備えについて見ていきたいと思います。

人生100年時代、70代で平均貯金額はいくらか

それでは早速、70代の平均貯金額について見ていきたいと思います。

金融広報中央委員会実施の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)」の結果より、金融資産保有世帯における70歳代の平均貯蓄額と中央値は以下の通りです。

※貯蓄額には預貯金の他に生命保険、有価証券等の金融商品も含まれます。

  • 平均貯蓄額:1978万円
  • 中央値:1100万円

一方で、金融資産を保有していない世帯を含む、70歳代の平均貯蓄額と中央値は以下の通りです。

  • 平均貯蓄額:1314万円
  • 中央値:460万円

中央値とは、貯蓄額が少ない順、あるいは大きい順に並べた時、全体の真ん中にくる人の値(金額)を表しています。

平均値は、一部の極端に貯蓄が多い人の額に左右されてしまうので、値が大きくなりがちですが、中央値は金額で値が左右されることはありません。より実態を反映した値といえます。

貯蓄額でみると、金融資産保有世帯においては、平均貯蓄額、中央値ともに1000万円以上の金融資産を持っていることがわかります。

一方で、金融資産を保有していない世帯を含む平均値は460万円です。

毎月5万円を切り崩すと、7年半で使い切る計算になります。これでは人生100年時代において、少々心もとないと言わざるをえません。