IT革命による「KKD(経験/勘/度胸)」から「データ駆動型」へのシフト。これは経営の領域だけではなくあらゆる分野のトレンドです。たとえば金融分野におけるフィンテック(FinTech)なども、その好例です。つまり、近い将来、社会全体がデータ駆動型へと更新されることになります。そのようななかで、日本の政治の世界はどうでしょうか。
少し前に、小泉進次郎氏が落合陽一氏との対談で「ポリテック」という概念に言及していました(「日本進化論」収録)。これは「Politics(政治)」と「Technology(技術)」を掛け合わせた造語です。「政治にテクノロジーを」という主張で、たとえば米国の農業分野の「土地改良」におけるAI活用事例などが取り上げられています。
小泉氏は「ポリテック」が注目を集めることを願っていましたが、その兆しは見えません。世間の印象として「日本政治」と「テクノロジー」は「水と油」なのかもしれません。
平井デジタル改革相が認めたIT活用の失敗
昨年(2020年)秋の平井デジタル改革相の日経インタビューは衝撃的でした。新型コロナに対するIT活用の失敗を認め、“デジタル敗戦"との認識を示しました(日経クロステック2020.10.27)。さらに、2001年のIT基本法施行から「e-Japan戦略(2001年)」や「世界最先端IT国家創造宣言(2013年)」も実現できていないとしました。
では、平井デジタル改革相の考えるデジタル庁構想の本質はどこにあるのでしょうか。
インタビューから抜粋します。それは「目指す社会の姿は経済成長と社会課題の解決を両立するソサエティ(Society)5.0」。ちなみにソサエティ5.0とは日本政府の提唱する科学技術基本計画第5期の「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステム」を指します。ソサエティ3.0が工業社会、ソサエティ4.0が情報社会と定義されています。