米国はパリ協定を離脱していますが、新政権発足とともに復帰するとバイデン新大統領は強調しています。なぜなら、気候・環境問題への対応は前政権から180度の政策転換となるため、世界から注目が集まっているからです。
バイデン新大統領は、地球温暖化防止のために、2050年までに脱炭素社会を実現すべく、大規模なインフラ整備などからなる「クリーンエネルギー/持続可能インフラ計画」では、4年間で約215兆円を投入する計画です。
近年、米国ではサステイナブル投資額が急増しており、2010年から2020年の10年間で5倍超に拡大しました。新政権の下、米国の気候変動政策が大きく前進すると予測される中、サステイナブル投資へのさらなる資金流入が期待されます。
注目の米国株式xESG
米国大統領選挙が終了し、追加経済対策法も成立。市場を覆っていた不確実性への懸念が後退し、新型コロナウイルスへのワクチン早期実用化期待が高まる中、低金利のさらなる長期化シナリオをベースにした「緩和マネー」が株式市場に流入しています。
米国株式市場ではS&P500指数が史上最高値を更新し、その後も堅調に推移していることからも、2021年は世界経済の復興を織り込む相場となると考え、リスク資産である株式を中心とした投資戦略が有効であると考えます。
同時に、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、新たな生活様式が求められ、脱炭素に向けた動きといった環境面のみならず、働き方や雇用維持といった社会面も重要視され、改めて投資戦略としての「ESG」に注目が集まっています。
2020年のパフォーマンスでみても、株式ではS&P総合500種ESG指数は17.6%上昇し、伸び率はS&P500指数を上回りました。ESG要素を配慮する企業の価値は中期的に高まるとの見方からESG市場への資金流入の勢いが強まっており、2021年もESG投資の拡大傾向は続くとみられます。
HSBC投信 シニア・マーケット・スペシャリスト 久世 ベルト 素子