最低限の生活費を年金だけで賄うことができれば、家計に少し余裕ができそうです。実際の収支はどのようになっているのでしょうか。

参考として、金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」を見ていきましょう。

この報告書は2019年に「老後資金2000万円問題」で話題になったものです。

このレポートによると、モデルケースの高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の毎月の収支は、収入が20万9198円、支出が26万3718円となっています。

これを計算しますと、月額5万4520円の赤字が出ることになります。

老後生活を30年として、赤字がいくらになるのか計算してみます。

5万4520円×12カ月×30年=1962万7200円

赤字は約2000万円になります。この数字が老後資金2000万円問題の根拠となっているのです。

この2000万円問題を基準に考えると、70代の約7割が2000万円を保有できておらず、収支では赤字に陥る可能性が高いということがわかります。

貯金ゼロ世帯も!老後貯金格差はいくらか

次は先程のデータに、金融資産を保有していない世帯も含めて見ていきましょう。

金融資産保有額(金融資産非保有世帯)

  • 平均:1314万円
  • 中央値:460万円

〈内訳〉

  • 金融資産非保有:31.1%
  • 100万円未満:3.4%
  • 100~200万円:2.8%
  • 200~300万円:3.5%
  • 300~400万円:3.7%
  • 400~500万円:1.9%
  • 500~700万円:6.2%
  • 700~1000万円:6.4%
  • 1000~1500万円:8.2%
  • 1500~2000万円:6.0%
  • 2000~3000万円:8.4%
  • 3000万円以上:11.1%

金融資産を保有していない世帯を含む金融資産保有額の平均は1314万円で、中央値は460万円となっています。

貯蓄が無い世帯が含まれているので、平均額、中央値ともに前項の結果を下回っています。

衝撃なのは金融資産非保有世帯が31.1%という点です。

2000万円でも余裕があるとは言えないこの時代。

金融資産ゼロの状況は、生活費、住居費の支払いが困難になるだけではなく、必要な医療や介護を受けることができなくなる可能性もあります。さらなる貧困を生み出さないか危惧されるところです。