私はファイナンシャルアドバイザーとして、外資系金融機関に勤務し、多くのお客さまへコンサルティングを行ってきました。
50代のお客様で多かったご相談は、なんと言っても、老後資金についてです。老後資金の準備や退職金の活用方法についての相談が多く、何をどうすればいいのかわからないと悩んでおられる方が大勢いらっしゃいました。
今回は、50代からでも老後資金の準備ができるように、定年前50代の貯金額、将来生活費に、いくら必要かを確認したいと思います。
定年前50代、貯金はいくらか
定年が近づくにつれて、多くの方は退職後のお金のことが心配になります。
「これで足りるのだろうか」、「退職金はどこに預けたらいいのか」など、40代と比べて、より具体的に手段と方法を考え始めます。同じ年代の人が、どれくらい貯金しているのかも気になるところです。
定年前50代は、いったいいくら貯蓄をしているのでしょうか。総務省「家計調査(貯蓄・負債編)2020年(令和2年)4~6月期平均結果」から、50代の平均貯蓄額をみていきましょう。
貯蓄・・・1678万円
〈内訳〉
- 通貨性預金:484万円
- 定期性預金:462万円
- 生命保険:399万円
- 有価証券:253万円
- 金融機関外:80万円
通貨性預金とは、普通預金や当座預金のことで、定期性預金は定期預金のことです。値動きをしないのが預貯金ですから、減ることもありませんし、増えることもありません。この割合が全体の約6割弱を占めています。
次に多いのは、生命保険です。
生命保険は、貯蓄機能に優れた商品であることはご存知でしたでしょうか。保険でお金を貯めることも、実は可能なのです。
生命保険を活用することで、予想した以上に運用成果が出たりする場合もありますし、将来もらえる金額が確定しているため、安心して保険料を払うことができるメリットもあります。
次に平均負債額は、いくらあるのか見ていきましょう。
負債・・・770万円
貯蓄と負債を相殺すると、純貯蓄は下記のとおりです。
純貯蓄・・・908万円
これが定年前50代の平均的な貯金の額になります。
50代以下の世代は、負債が貯蓄を上回っています。借金の方が多いのです。
定年前50代は、平均年収が20代~40代よりも高く、住宅ローンの返済が進んでいること、また教育費の負担が減るので貯蓄に取り組みやすくなり、結果的に貯蓄額が増える年代とも言えるのです。