就任宣誓のやり直しが起きたのはなぜか

こんな長文を一言一句間違えずに暗唱できるのか?と思うかもしれませんが、実際の就任宣誓では、壇上に連邦最高裁長官と“次期”大統領の2人が立ちます。そして、連邦最高裁長官がこの宣言文を区切りの良いところで切って読み上げ、“次期”大統領が復唱する形を取ります。

なお、復唱する形で宣誓する“次期”大統領は、メモ用紙などを見ることが禁止されています。そのため、間違って復唱するケースが実際に起きました。ただ、それは大統領側のミスではなかったのです。

2009年に行われたオバマ大統領の就任式において、最高裁長官がこの宣誓文を一部間違えたため(語順ミス)、後日、ホワイトハウスでやり直す事態になっています。

オバマ氏は戸惑った様子で言い淀んだものの、最高裁長官をおもんばかったのか間違ったまま復唱しました。いずれにしても、わざわざやり直しをするくらい、極めて厳格な宣誓と言えます。

このような就任宣誓の形式を知っておくと、1月20日の就任式をよりいっそう楽しめるかもしれません。いずれにせよ、是非とも注目したいイベントです。

首都ワシントンは厳戒態勢に

なお、 “次期”大統領は聖書に手を当てて(置いて)宣誓することが“慣例”となっています。ただし、これは憲法で定められた様式ではないため、この行いに関しては一部で政教分離に反するのではないかという見解があるようです。

この就任宣誓が終わって、晴れて正式に大統領職に就いた後、就任演説が行われます。今回は、この就任演説がリモート形式になると予想されますが、トランプ政権後の行方を見極める意味でも世界中が注目しているでしょう。

最後になりますが、今回の大統領就任式が無事に行われることを切に希望します。本当かどうかはさておき、ネットでは就任式を妨害する動きも見られているようですし、実際、ワシントンDCは戒厳令に近いような厳重警戒態勢が敷かれていると報じられています。何事もなく平穏な式典となりますよう。

葛西 裕一