日本人の観客のもたらす経済効果も、期待薄です。チケットが入手できた地方からの客は旅費やホテル代等を使うでしょうが、東京圏の観客はチケット代しか使わないでしょうから。
五輪の経済効果の主なものは、五輪用施設の建設費用であり、テレビ放映権料などでしょうから、五輪が無観客になったとしても、全体の経済効果を押し下げる度合いは大きくなさそうですね。
経済効果ではありませんが、アスリート達の活躍の場がしっかり確保されるという点に於いても、観客の有無の影響は小さいでしょう。まあ、応援があった方がアスリートの張り合いがある、といった程度のマイナス効果はあるかもしれませんが。
立派なスタジアムが無駄になるから観客を入れる?
新国立競技場をはじめ、東京五輪のために作られた施設は多数あり、巨額の費用がかかっています。そして、各施設には大勢の観客を受け入れるためのスペースが設けてあります。客席等の整備にも巨額の支出がなされている筈です。
では、「無観客の五輪では、客席等を整備した費用が無駄になってしまうから観客を受け入れるべき」という議論は成り立つのでしょうか。それは成り立たないと筆者は考えています。
まず、五輪のための施設は、五輪終了後も何度も有効に利用されると期待しましょう。仮にそうであれば、今回は無観客で五輪を行っても、新型コロナ収束後に設備が何回も有効活用されるはずですから、建設費が無駄になったとは言えないはずです。