そのあたりについても、本稿では「流行状況を見極めながら、適切に判断するしかない」ということにしておきましょう。その上で、仮に開催する場合に無観客とすべきか否かについて考えてみましょう。
外国人の観戦ツアーを認めるのは難しい
五輪の観戦のために来日したいという外国人の入国を認めることは、新型コロナの現状を考えると難しいでしょう。「一般的な外国人観光客は受け入れないのに、なぜ五輪の観客だけは入国を認めるのか」を説明できないからです。
そうだとすると、外国人の観戦ツアーは認められない、ということにせざるを得ません。日本に住んでいる外国人や、たまたま五輪の時期にビジネス等の目的で訪日していた人々を例外的に観客として認めるとしても、基本は外国人の観戦はダメでしょう。
その場合、「日本人は観客として認めるが、外国人は原則として認めない」「無観客試合とする」という選択肢が残されることになります。しかし、国際的な祭典である東京五輪に於いて、原則として日本人だけを観客として受け入れるということが国際的に納得してもらえるとも思われません。
もう一つ考慮すべきなのは、決定のタイミングです。無観客にするか否かの決定は、大会の直前に行うわけには行かないので、決定する時点では「仮に今後感染が拡大した場合でも大丈夫なように」ということで保守的に決めざるを得ないはずです。
無観客による経済的な悪影響は限定的
東京五輪というと、大勢の外国人観光客が来るというイメージがありますが、実際にはチケットを入手できた外国人だけが、東京を中心に短期間滞在するだけでしょう。観光業への貢献という意味では、アベノミクスによって急激に増加したインバウンド需要とは比べものにならないほど小さいはずです。