富裕層家庭の「お金の管理」、誰がしてる?

とくに資産がある家庭では、女性が男性に任せる傾向が強いようです。UBS Global Wealth Management社が2020年2月に準富裕層以上の既婚(同棲)男女、投資可能資産が最低25万ドル(約2,600万円)以上保有する25歳以上を対象とした調査“Own your worth 2020”(※2)では、49%の女性が男性に家計管理を任せているということです。

その中でもミレニアル世代(25~39歳)の女性54%が、夫に長期的な家計管理を任せているとのこと。ブーマー世代(55~75歳)の39%を上回っています。「共同管理するべき」と、理屈は分かっている高学歴のミレニアル世代の女性でさえ、夫の方が自分より知識があるだろうと投資には関与しない姿勢を見せているということです。

同調査書におけるその理由は様々。しかし育った家庭環境の影響は大きいと指摘しています。父親が長期的な投資を管理し、母は日々の家計を管理しているという家庭で育っいる女性に、そのような傾向が多くみられるといいます。つまり、父親が株式投資をしている環境で育った女性は、「男性(父親)に経済的に守られてきた」という意識が強いのかもしれません。

単独管理のリスク

しかし多くの専門家は、家計管理・資産形成は夫婦共同で管理することを勧めています。とくに、アメリカの男性支配の家計管理については懸念する声が高まっています。ファイナンシャルジャーナリストのファーヌーシュ・トラビ氏はブルムバーグ誌の記事(※3)の中で、「相手に先立たれた時に途方に暮れることや、別れたくても経済的に自由がなく別れられないというような状況になることもある」と、女性が積極的に家計管理に参加することを勧めています。

また、相手が自分より投資の知識があるとは限りません。ファイナンシャル・コーチ、デビー・サッセン氏も、「投資の選択が偏っていないか、投資が上手くいっているか状況を把握することは、2人の未来のために有益だ」と自身のブログで述べています(※4)

日本では、妻に先立たれた夫が通帳と印鑑がどこにあるかわからず戸惑った、という話が昔はよくあったと聞きます。過去世代の日本の男性は、アメリカの男性と逆に、男は黙って働き給料袋を妻に渡すことが男らしく、やりくり上手の奥さんがそこからコツコツ貯金し資産形成するという風習がありました。

しかし今の日本は、銀行金利はほぼ0%、退職金や年金も今後どうなることか。これからはアメリカのように投資で老後資金を自分で増やすことが重要となるのではないでしょうか。そうなれば、夫婦2人で学び、知恵を出し合いながら投資判断をしていくことが得策といえます。