大統領選公開討論会やドイツ銀行株の急落で神経質な展開
2016年9月30日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日より243円87銭安の16,449円84銭となりました。
今週は、いくつかのイベントがあり株価も神経質に上下する展開となりました。米国では26日夜(日本時間27日午前)、大統領選に向けたテレビ討論会が行われました。民主党のヒラリー・クリントン氏が優勢だったとの見方からドルが買われ、日経平均株価も上昇しました。
28日には、ドイツの金融最大手、ドイツ銀行が傘下の英保険会社を売却することも発表し、29日の米国株式市場でドイツ銀行株は急落しました。今月15日、米司法省がドイツ銀行に対して、金融商品の不正販売に関わったとして140億ドル(1兆4,000億円余り)の和解金を支払うよう求めたことが明らかになっています。30日には、東京株式市場でも銀行や保険、証券などの金融株が売られました。
来週の動きはどうなるでしょうか。まず、ドイツ銀行の経営悪化観測をきっかけに、欧州銀行不安再燃ということになりかねない状況であり、注意したいところです。
来週は重要な経済指標の発表も数多く行われます。日本では、3日には四半期日銀短観が発表されます。約1万社の企業を対象に、日銀が四半期ごとに実施する調査で、景気動向を判断する重要な材料となります。
米国では、重要な指標の発表が相次ぎます。3日は製造業景況指数、5日にISM非製造業指数の発表があり、特に7日には、9月の雇用統計が発表されます。年内利上げの有無を占うことになるでしょう。
ただし、これらの結果がよかったとしても、大統領選を控え、12月までは利上げしないという予想もあります。逆に雇用統計などの数字が悪く追加利上げ観測が後退した場合、円高・ドル安になりますが、米株式市場などでは株式を買う動きになります。
大統領選の結果や為替相場の動きなど、しばらくは、日本株への影響について判断が難しい状況が続きそうです。
75日移動平均線に支えられるが、25日移動平均線との間でもみ合う
今週の動きをテクニカル面から見てみましょう。今週は窓を開けて始まる日が多かったことに加え、陰線と陽線が交互に出現する、方向感がつかみづらい展開でした。
下値は75日移動平均線で支えられ、堅い印象がある一方で、25日移動平均線で上値を抑えられています。2本の移動平均線の間でもみ合う動きでした。
レンジを抜ければ大きな動きになる可能性があるが、来週は様子見か
来週の動きはどうなるでしょうか。現状は75日移動平均線と25日移動平均線の間のレンジになっています。まずは、ここをどちらに抜けるか注目したいところです。
25日移動平均線を上抜け、さらに9月5日の高値(17,156円)を超えるようであれば、もう一段上もうかがえます。
逆に、75日移動平均線を下回るようであれば注意が必要です。現在、75日移動平均線が、6月24日以来の上昇トレンドラインの下限付近に近づいています。ラインが重なることから、このあたりではサポートされやすく押し目買いの好機でもありますが、それだけに、ここを抜けてしまうと、下目線での視野が広くなり、するすると下がってしまう可能性が高いのです。直近の安値である9月27日の安値(16,285円)を下抜けると、16,000円や8月4日の安値(15,921円)あたりが下値めどとなります。
ただし、来週は重要な指標の発表が相次いでいます。週末の雇用統計の発表は日本時間の夜であることから、様子見の一週間になるのではないでしょうか。75日移動平均線と25日移動平均線を挟んだ小さな値動きになるのではないかと予想されます。
下原 一晃