2020年12月21日に行われた、住友金属鉱山株式会社の事業説明会「住友金属鉱山 IR-Day 2020」の内容を書き起こしでお伝えします。各パートの記事は、以下のリンクからご覧いただけます。
資源事業パート
製錬事業パート
電池材料事業パート
機能性材料事業パート
閉会のご挨拶

スピーカー:住友金属鉱山株式会社 代表取締役社長 野崎明 氏

住友金属鉱山 IR‐Day 2020

野崎明氏:みなさま、こんにちは。本日はご多用の中、「住友金属鉱山 IR-Day 2020」 にご参加いただき、誠にありがとうございます。私は社長の野崎でございます。みなさまには平素より当社事業に対し格別のご理解、ご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

まずは、新型コロナウイルス感染症拡大により罹患された、あるいはさまざまな影響を受けている方々に、衷心よりお見舞い申し上げます。また、感染拡大防止等に尽力されているみなさまに、心より感謝申し上げます。

今年は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、当社のIRイベントについては、従来実施していたような会場での説明会あるいは対面形式でのイベント、工場見学会等が実施できない中で、動画配信やオンラインの活用等と可能な限り工夫しながら、例年とは異なる取り組みを行っています。

このような中で、このたび新たなIRイベントとして「住友金属鉱山 IR-Day 2020」をオンラインにて開催させていただく運びとなりました。

こちらは、当社の各事業についてより深くご理解いただくための、機関投資家のみなさま向けの事業説明会となります。当社IRイベントとしては初めての試みとなる、動画のライブ配信による説明会です。

このあと、当社の資源、金属、電池材料、機能性材料の4事業本部長より、各事業についてプレゼンテーション資料を用いてご説明します。

それぞれの質疑応答の時間では、投資家のみなさまからのご質問に、各事業本部長が直接ご回答しますので、この機会にぜひご質問をいただければ幸いです。質疑応答の具体的な方法などについては、後ほど事務局からご説明しますので、どうぞよろしくお願いします。

個別の事業内容については、これから各事業本部長がお話ししますので、その前に、私からは、当社の事業をどのようなアプローチで行っていくか、どのように考えているかといった「思い」について、お話ししたいと思います。

住友金属鉱山のこれから(取り巻く事業環境と当社の思い)①

当社も所属するICMM(国際金属・鉱業評議会)、UNEP(国連環境計画)、PRI(責任投資原則)の3者が共催者となり設立した組織、Global Tailings Reviewにて、尾鉱ダムを安全に管理するための国際規格となる Global Industry Standard on Tailings Management(GISTM)が制定され、今年8月に発表されました。

ICMMでは、現在、この規格を実践するためのガイドを作成しており、当社も、ICMM のメンバーとして、ICMMの方針を順守して尾鉱ダムの安全性確保に努めています。

また、オーストラリアにおいて、アボリジニの洞窟遺跡を破壊したことを引責する形で、鉱山会社のCEOが辞任する事態も起きています。

これらは、当社のような鉱山開発、金属製錬を生業とする企業が、環境や地域社会への姿勢を従来にも増して厳しく問われていることを示す事例です。

投資家のみなさまの間でも、ESG投資の重要性が増してきている中だと思いますので、ここで改めて申し上げるのは大変恐縮なのですが、私たち事業会社にとって、ESGへの姿勢が事業の持続的な発展にますます不可欠なものとなってきていることは間違いのないところです。

住友金属鉱山のこれから(取り巻く事業環境と当社の思い)②

当社は、創業から430年にわたり、これまで地域との共存、社会との共存を一義において仕事を行ってきました。

当社のように、鉱山開発、金属製錬を手掛ける企業においては、資源のあるところでしか仕事ができず、また製錬所のような大きな工場を作ると、その土地や地域との関係が、非常に重要な要素となります。

その地域において、資源開発を認めてもらい、工場での操業を長く続けるためには、Social License to Operate(社会的操業許可)を得ることが不可欠であり、事業を行う上での大前提となります。

こちらのスライドにある、283年にわたる別子銅山経営におけるさまざまな取り組みは、住友の源流事業である銅製錬事業を受け継ぎ、住友のDNAを色濃く受け継いできた当社グループが、住友の事業精神に基づいて「事業を通じて社会課題を解決する」ことを目指し、事業と一体となったCSR活動を展開してきた、いわば住友のDNAを体現してきた事例の代表的なものです。

住友金属鉱山のこれから(取り巻く事業環境と当社の思い)③

このように、真摯に地域社会と向き合うという事業精神は、現在でも当社グループのDNAとして受け継がれており、例えば、フィリピンでHPAL操業を⾏う上でも、地域社会との信頼関係の構築、テーリングダムの緑化などに活かされています。

また、今年建設を決定し、本格的に建設⼯事を開始しているカナダのCote⾦開発プロジェクトにおいても、⽣態系や環境への万全の配慮を⾏うとともに、先住⺠を含めた地域住⺠、地域社会と⾮常に良好な関係を構築しながら、計画を着実に前進させています。

当社は、⻑期ビジョン「世界の⾮鉄リーダー」を⽬指す上での2030年時点のマイルストーンとして、今年3⽉に「2030年のありたい姿」を発表し、この中で「気候変動」や「⾮鉄⾦属資源の有効活⽤」など11の重要課題を特定しています。

このような、社会にとっても、当社事業にとっても重要な社会課題を、これからも事業を通じて解決していくことが、当社の「ものづくり企業としての社会的使命と責任」であり、企業価値の最⼤化につながるものと考えています。

本⽇ご説明させていただく、当社が⾏っているさまざまな事業、戦略の根底には、このような思いがあります。

冒頭にお話しした事例でも示されているとおり、社会の持続的な発展に対する企業の役割について、社会や投資家のみなさまからの要請は多様化、具体化してきており、当社としても大きく変わりつつあるトレンド、潮流への適切な対応は喫緊の課題だと認識しています。

一方で、事業を通じて社会の課題解決に貢献するという当社の姿勢は一貫して変わっておらず、その取り組みが事業運営の中で自然な所作になっていることはみなさまからは見えづらいかも知れません。

当社グループの戦略や施策をご理解いただくため、ステークホルダーのみなさまとのコミュニケーションをさらに深化させていきたいと思います。

それでは、本日の「住友金属鉱山 IR-Day 2020」が、投資家のみなさまにおかれまして、当社の各事業に対するご理解を深めていただく機会となりましたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

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