「今思うと本当に愚かだった、と思うのですが…。朝早くからスーパーやドラッグストアに並んではマスクを買い集めていました」

朝早くから並んでも、「今日の入荷はありません」と言われることも多い中、手に入れられたときには達成感すらあった、というJさん。

「家の中にマスクの在庫がどんどん増えていくと、妙に安心しました」

それだけではありません。Jさんは暇があるとせっせと余り布を使って「手作りマスク」の製作にも精を出していたそうです。

「とにかく、はぎれやらなんやらで手作りマスクを何枚も作りました。作ったマスクは自分たちで使用するのはもちろんですが、遠方に住む娘家族のところにも送っていました」

しかしある日、娘からLINEで「お母さん、手作りマスクたくさんありがとう。でも、もうマスクも普通に売られているし、何十枚も布マスクいらないから、もういいよ」と一言。

それでも「あっても困る物じゃないから」と無理矢理送っていると…。「お母さん、言いにくいんだけど、本当にもういいんだ。実は、お母さんが着てたシャツで作ったマスク、派手すぎてつけられない、って夫も息子も言ってるし…」と娘からはっきりと「迷惑宣言」。

結局行く当てのなくなった大量の手作りマスクと、買いだめして高く積み上げられた使い捨てマスクが、まだ当分来ることのない出番を今でも待っているそうです。

「過ぎたるは及ばざるがごとし、と夫に諭されました。反省です」

まとめ

今はまだ予断が許されないコロナ禍“第3波”の真っただ中。もしかしたら思いもよらぬものが「役に立った」「必要になった」というときが来るかもしれません。

いざというときのために備えておくことはもちろん大切ですが、過剰に買い込んだり、本当に必要かどうかわからないものまで買ったりするのは後悔のもと。

コロナ禍での買い物に求められるのは「冷静な判断力」というところでしょうか。

大中 千景