しかし、JIの再生という問題は、今後のインドネシアのテロ情勢にとっては大きな懸念事項だ。筆者の周りでも、ジェマーイスラミアが再び勢力を伸ばしつつあるとの声は聞かれ、一部にはメンバーや支持者を合わせて数千人いるとの指摘もある。
日本企業は情報収集と駐在員への伝達を
現在、邦人も多いジャカルタやバリ島などで差し迫ったテロの脅威があるわけではないが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う経済への影響(失業や格差拡大など)も中長期的に考慮し、JIの動向には今後注意する必要があろう。
社会経済的な不満を持つ若者たちが、JIなどのテロ組織にリクルートされ、現地のテロ情勢が悪化する恐れも排除はできない。
インドネシアに進出する日本企業としては、外務省や現地の大使館・領事館が発信する安全情報に細心の注意を払い、それを駐在員などに速やかに伝えることが重要である。
また、現地の情報機関が事前にテロのアラートを発信し、それを現地メディアが報道することもあるので※、そういった情報を入手することも重要となる。
※参考:「Indonesia: Jemaah Islamiyah is Back」(BenarNews)
和田 大樹