2020年10月30日に行われた、野村不動産ホールディングス株式会社2021年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:野村不動産ホールディングス株式会社 代表取締役社長 グループCEO 沓掛英二 氏

2021年3月期 第2四半期 連結決算概要

沓掛英二氏:おはようございます。沓掛でございます。本日は、野村不動産ホールディングス2021年3月期第半2四期決算説明会にご参加をいただきまして、誠にありがとうございます。限られた時間ですので、さっそくご説明を開始いたします。

まず、2021年3月期決算説明資料、5ページをご覧ください。2021年3月期第2四半期における当社グループの経営成績は、売上高2,239億円、営業利益241億円、事業利益246億円、経常利益194億円、当期純利益は120億円となりました。

部門別の業績は、後ほどご説明いたします。中間配当金につきましては、前年と同額の1株当たり40円とし、通期の配当予想につきましても、期初お伝えした1株当たり80円から変更ございません。また、第2四半期時点での自己資本比率は、30.2パーセントという状況でございます。

2021年3月期 第2四半期 部門別決算概要

続きまして、6ページをご覧ください。部門ごとの売上、および利益の前年度四半期からの推移をご説明いたします。

住宅部門は、売上高839億円、事業利益17億円と、前年同四半期と比べて増収増益となっております。住宅分譲事業の計上戸数は994戸と、前年同四半期とほぼ同じ水準でしたが、計上した物件の平均戸当たり価格、および粗利率が上昇したことによるものです。

都市開発部門は、売上高804億円、事業利益152億円と、前年同四半期と比べ、減収減益となりました。これは主に、収益不動産事業での物件収入・売却収入が減少したことと、新型コロナウイルス感染症の影響によって、フィットネス事業での店舗の営業休止や、ホテルの稼働率低下、商業施設での賃料の一部減免などが発生したことによるものです。

サービス・マネジメント分野では売上高672億円、事業利益102億円となっております。資産運用部門は、新型コロナウイルス感染症の影響も限定的であり増収増益でしたが、仲介・CRE部門は、店舗の休業や営業時間の制約によるリテール事業の取扱件数と取扱高の減少しました。また運営管理部門は、受注工事の減少の影響により、それぞれ減収減益となりました。

2021年3月期 業績予想(2020年3月期実績比)(2020年7月公表より変更無し)

続きまして、9ページをご覧ください。全体および部門ごとの通期の業績予想につきましては、本年4月にお示しした数字から、変更はございません。

【住宅部門:部門別業績】

続いて、部門ごとの業績を簡単にご説明します。16ページをご覧ください。まず、住宅部門ですが、マンションと戸建を合わせた住宅分譲の計上戸数は、本第2四半期は994戸と、前年同四半期の997戸とほぼ同水準となりました。

THE COURT 神宮外苑の後、都心の高価格帯に属する物件の計上が比較的多かったため、計上物件の平均価格は、1戸当たり7,500万円を超えています。また、粗利率は22.4パーセントとなりました。その結果として、住宅部門は増収増益となっております。

ただし、1戸当たりの平均価格および粗利率は、あくまでも現時点のものです。物件ごとの個別要因が強いため、今後、計上戸数の増加に従い、変化してまいります。

本年2021年3月期、通期では1戸当たりの平均価格は前年よりも少し上昇し6,000万円台後半、粗利率は前年と同水準の20パーセント程度になる想定でございます。なお今期第2四半期までは、収益不動産としての賃貸住宅の売却実績はございません。

【住宅部門:住宅分譲 主要指標①】

続いて、17ページをご覧ください。左上の表は、住宅分譲の契約戸数でございます。第2四半期までの合計で1,711戸を契約しました。

第1四半期の4月から5月は、緊急事態宣言により営業活動を自粛し、営業再開後もモデルルームへのご来場数を制限するなど、営業活動には一定の制約がございましたが、お客さまの需要は引き続き好調に推移し、第2四半期の3ヶ月間で1,453戸と、前年同期を上回る戸数の契約が実現しております。

その結果、今期計上を予定する2,500億円、3,700戸に対する契約進捗率は86.6パーセントとなっており、近年の実績と比較しても順調な進捗でございます。粗利率はすでにお伝えしましたように、現時点において22.4パーセント、通期では前年並みの20パーセント程度を想定しております。

今期以降の事業用地については、スライドの右下の表のとおり、1,450戸、売上1,370億円相当を取得し、累計で1兆5,300億円相当のストックとなっております。

今期取得した物件の中には、都心の再開発案件、西麻布三丁目都市開発、市街化再開発が含まれるため、戸数当たりの売上相当額が大きくなっております。こちらも、物件取得が進捗に伴い、変化していくことを想定しております。

【都市開発部門:部門別概要】

続きまして、都市開発部門でございます。20ページをご覧ください。都市開発部門について、前年同四半期との比較で、収益不動産の売却額の減少、およびコロナウイルスの感染症の拡大を受け、フィットネスクラブ「メガロス」の4月、5月の営業休止、ホテルの稼働率低下、商業施設における賃料の一部減免をなどによる影響を受けております。

また、賃貸事業における、今期竣工しましたオフィスビルの「東京虎ノ門グローバルスクエア」や、商業施設の「SOCOLA(ソコラ)武蔵小金井クロス」などの新規物件からの収益が、新たに加わっております。

【都市開発部門:収益不動産 主要指標】

22ページをご覧ください。先ほどお伝えしたように、第2四半期までに実現した収益不動産売却は、売却額で359億円、粗利利益63億円となり、前年度の第2四半期に比べて減少しております。これは収益不動産の売却について、新型コロナウイルス感染症の影響も考慮しつつつも売り急ぐことなく、着実に売却を実行していくという戦略によるものです。

第2四半期の数字には含まれておりませんが、野村不動産マスターファンド投資法人への物流施設「Landport青梅Ⅱ」の売却が、今月すでに完了したことに加え、まだ詳細はお伝えできませんが、第3四半期以降、複数の物件売却に向けた動きが順調に進捗しており、通期の売却計画は予定どおり実現できる見込みでございます。

収益不動産開発用地は合計で6物件、予定総投資額440億円相当を確保しております。これにより、収益不動産の事業ストックは5,400億円相当となっています。引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮しながらも、オフィス、商業施設、物流施設といった、アセットタイプごとに市場環境を見極め、投資機会を確保してまいります。

以上、2021年3月期第2四半期の業績について、お伝えいたしました。次に、新型コロナウイルス感染症の影響見通しについてご説明いたします。

2021年3月期 業績予想(新型コロナウイルス感染症の影響)(2020年7月公表より変更無し)

すでに、7月の第1四半期決算の時点でお示ししているとおり、新型コロナウイルス感染症の拡大により、収益が実際に逸失するもの、収益機会が先送りされるものを合わせ、事業利益ベースで約200億円の影響を今期業績は受ける見込みです。

そのため、今期の事業利益予想は600億円としておりますが、この影響は今期、今年度のみにとどまるものではなく、来期以降についても、徐々に回復基調を見せながら、一定の影響を受けるものと想定されています。

新型コロナウイルス感染症による影響からの回復見込み

11ページをご覧ください。本時点において、新型コロナウイルス感染症の収束への道のりは、いまだ不透明でございます。

欧州各国では、再び感染者数が増加しており、国内も決して予断を許すものではありません。一方で、Go To キャンペーンなど、各種の政策による経済活動復活の兆しや、アジアを中心とした各国との往来が徐々に再開に向けて動き出すなど、明るい動きも見え始めております。

それらを考えると、世界および日本の経済活動は、withコロナ、afterコロナといった環境下で、緩やかに回復に向かうものと想定され、おおむねその回復には2年から3年程度を要するものと想定しております。

当社においても、あくまで現時点での想定ではございますが、コロナウイルスの影響が発生する以前の、前期2020年3月期の事業利益、828億円と同程度、800億円水準の利益を確保するレベルに回復するには、2023年3月期まで要するものと想定をしております。

ライフスタイル・ワークスタイルの多様化の加速への対応①

続きまして、13ページをご覧ください。当社グループは、創業以来、変化し続ける社会環境に対応し、常にお客さま目線、マーケットインの発想に基づき先取りし、暮らしを豊かにする新たな付加価値を社会へ提供し続けてまいりました。

新型ウイルス感染症の影響によって、人々の生活が大きく見直され、ライフスタイル、ワークスタイルの変化が加速している現代においても、当社グループのこの姿勢は変わるものではございません。

ポストコロナ、withコロナと言われる社会の変化の中で、ニーズに応える新たな付加価値をお客さまに提供することで、当社への成長へとつなげてまいります。

住まいに関して言えば、感染症拡大の影響を受けて、都心から郊外へ、マンションから一戸建てへといった一方向への変化が語られることもございますが、実際には、通勤、在宅勤務などのワークスタイルの変化と合わせて、住まいへのニーズはますます多様化しています。

そして当社が提案してきた、多機能で利便性の高いまちづくりである、都市型コンパクトタウンへの注目も一層高まっており、「プラウドタワー武蔵小金井クロス」「プラウドシティ日吉」「プラウドタワー亀戸クロス」など、従来からご好評をいただいている物件の販売は、引き続き順調に推移してきております。

これは遠出や頻繁な外出がためらわれる中で、徒歩圏での生活必需品の買い物場所や、テレワークのための環境、学校やクリニックなど、さまざまな施設がそろう利便性の高い評価であると考えています。

本年8月に当社が販売を開始した、東池袋徒歩1分の「プラウドタワー東池袋ステーションアリーナ」で、100戸を超える数が即日完売した例にあるように、都心、駅前という利便性を求めるお客さまのニーズは、通勤時間を短縮し、リスクを避ける観点からも、引き続き強いものがございます。

このように、エリアや地域の特性をから、多様化する住まいのニーズにお答えするべく、当社の強みを活かし、幅広いかたちでの安全で安心な良質な住まいの提供を続けてまいります。

ライフスタイル・ワークスタイルの多様化の加速への対応②

続いて、14ページをご覧ください。ワークスタイルという点において、場所にとらわれず、個人のパフォーマンスの最大化を目指す働き方の多様化は、間違いなく進んでおります。

これは近年の働き方改革の一環として徐々に進んできた動きが、感染症拡大予防の観点により、一気に加速したものと言えます。当社では、そこで働く方々のことを第一に考える「HUMAN FIRST」をコンセプトに、少人数向けのクオリティスモールオフィス「H¹O」(エイチワンオー)、サテライト型シェアオフィス「H¹T」(エイチワンティー)を展開しております。

テナント企業や、実際そこで働く方々から高い評価をいただいており、すでに「H¹O」は15物件、「H¹T」は他社の提携拠点も含めて55拠点まで拡大地域が決まっております。

中規模ハイグレードオフィスPMO(ピーエムオー)シリーズを有する当社は、「東京虎ノ門グローバルスクエア」や芝浦一丁目地区計画などの大規模オフィスビルから、中規模のPMO、より小規模な「H¹O」、さらに時間貸しで一時利用できる「H¹T」と、規模によらず多様なニーズにお答えする、高品質のオフィススペースを提供することが可能です。

今後も、「HUMAN FIRST」の発想で、新しいオフィスのかたちや、ワークスタイルのあるべき姿を先取りした当社独自の商品やサービスの提供により、新たな価値を提供してまいります。

ご説明は以上です。当社グループは、これからもマーケットインの発想に基づき、新たな価値を創造し、高品質な不動産開発、サービス提供に努め、グループの理念でもある「あしたを、つなぐ」の実現に向け成長してまいりたいと考えております。

ご清聴ありがとうございました。

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