親から解放されても続く「虐待の後遺症」
虐待を、「親から離れればすべてが終わる」と捉えている人はとても多いです。
しかし、虐待被害者は、親から解放されてからも虐待の経験に苦しめられていることがあるのです。
ここからは、虐待後の影響についてみていきましょう。
「心」への影響
虐待の経験が、精神面に影響を及ぼすことがあります。
暴力を受けたトラウマなどから精神面が不安定になり、抑うつ状態やフラッシュバックに苦しみ続ける人もいるのです。
また、幼少期に虐待を受けた人の中には、心のバランスを崩して精神疾患を発症する人も少なくありません。虐待の経験が大人になってからも生活に大きな影を落とすことになります。
精神科を受診している人やカウンセリングを受けている人、対人恐怖症で仕事に就けない人など、虐待は親から解放されてからも苦しみ続けるものなのです。
周りの無理解
虐待の後遺症は、周りから理解してもらえないことも多いです。
友人や職場の同僚に、虐待の経験を話したり、いまも精神科に通っていることを伝えたりしても、「いつまで引きずっているの?」「いい加減忘れなよ」「過去の話でしょ」と、ひどい言葉をかけられることもあります。
その結果、周囲の人をさらに信頼できなくなる、ストレスになる、1人で抱え込むようになる、ということも少なくありません。
負の連鎖
虐待は、連鎖すると言われています。
子どものころに虐待を受けていた人が、親になってから、自分の子どもに同じように虐待をしてしまうケースがよく聞かれます。
「自分は親のようにはならない」と覚悟を持っていても、いざ親になると、しつけの方法が分からなかったり、愛し方が分からなかったりするために、親が自分にしていたこと(暴力など)をそのまま子どもにしてしまうことがあるのです。