「二人目は?」止まない催促に疲れ、夫に仲裁を頼むも…

30代後半で妊娠・出産したCさんは、ご主人の転勤先である地方都市で、頼れる友人や親族もいない、周りは年の離れたママ友ばかりというアウェイな環境での子育てに疲弊していったといいます。

「母乳育児を強く推進する産院で産んだのですが、私は思うように母乳が出ず、周囲からも追い立てられてどんどん気持ちが塞ぎ込んでいきました。退院後も慣れない土地での子育てに必死だったのですが、ある時から義母が頻繁に連絡してくるようになったんです。内容はいつも同じで、『2人目はまだなの?』という催促。義実家の法事や集まり、親戚のお祝い事など一応は用事があってかけてくるのですが、気づけば『子供にはきょうだいがいて当たり前。上が男の子でやんちゃだからママも鍛えられているもの、次の子はどちらでも楽ね』なんて、2人目を産む前提の話が始まっているんです。無視するわけにもいかないので、悶々としながらも電話に出ていました」

その後ものらりくらりと2人目の話題をかわし続けるCさんにしびれを切らしたのか、電話口の義母の口調は次第に強いものになっていきました。

「『いい加減、本気で次の子のことを考えたら?きょうだいの年は離れすぎない方が絶対いいんだから』と。もちろん私も、自分の状況や年齢を踏まえて2人目は考えていないと何度も伝えていました。けれど義母は引き下がらず、『大丈夫、やってできないことはないわよ!』と…。ママ友も上手くつくれない、自分の実家の家族に手助けしてもらえるわけでもない、夫も忙しくて息子の世話で精一杯…こんな状況でどうして2人目を産めると思うのか、なぜここまで強要されなければならないのかと涙が出てきました。」

その日、Cさんは帰宅した夫へ初めて「お義母さんへ2人目を作る気はないとあなたの口から伝えてほしい」と訴えます。ところが夫は困ったような顔をすると、「母さんにも悪気はないんだ。うまく聞き流して、仲良くやってくれよ」と義母をかばうような言葉をCさんへと告げました。

「それを聞いた瞬間、『ああ、この人は私の味方になってはくれないんだ』と諦めのような、呆れたような気持ちになりました。義母は今でこそ静かになりましたが当然確執は残りましたし、何よりあの出来事を機に夫への愛情が完全に冷めてしまって、離婚の二文字が頭を過ぎることも多々あります」

おわりに

高齢で出産したからこそ、尚のこと簡単にはいかない「2人目」問題。「きょうだいは多ければ多いほうが良い」という考えが根強い義母からの圧力に辛い思いをしたり、ストレスを感じたりしているママたちは少なくありません。そんな時、義母との間に入って自分たち家族の方針についてきちんと伝えてくれるはずの夫が頼りにならないと、後々の夫婦関係にも大きな影響を与えることもあるようです。妻と実母の緩衝材のような役割を果たせるように、上手な立ち回りが求められているといえるでしょう。

中川 雅美