六甲バターの株価は年初来高値を更新中

六甲バター(2266)の株価が上昇しています。新高値を更新しており、長期で見てもTOPIXを大きく上回るパフォーマンスを上げています。

まず過去10年のチャートを確認してみましょう。

六甲バター(青)とTOPIX(赤)の過去10年間の株価推移

実は、株価は乳製品関連の国内大手と比べても良好なパフォーマンスです。この分野では機能性ヨーグルトやチョコレートの好調さと採算重視の取り組みが評価されて明治ホールディングス(2269)の評価が高まりましたが、六甲バターの株価パフォーマンスはこれにひけをとりません。

六甲バター、明治ホールディングス、森永乳業(2264)、雪印メグミルク(2270)の株価を、次のチャートで見てみましょう。

六甲バター(青)、明治ホールディングス(緑)、森永乳業(赤)、雪印メグミルク(オレンジ)の過去10年間の株価推移

最高益更新が視野に

株価好調の最大の要因は業績の好調さです。同社は12月決算で、2016年12月期の期初の会社計画は、通期で売上高が対前年度比+5%増、当期純利益が同+25%増の24億円でした。

しかし、上半期の業績が好調に推移し、その傾向が下半期も続くとされて、2016年8月5日に通期業績見通しが上方修正されました。修正後の会社計画は売上高が同+6%増、当期純利益が同+61%増の32億円になり、2009年12月期の22億円を超える最高益を更新する見通しとなりました。

業績好調の要因は、主力の家庭用チーズの販売が好調であることに加えて、原料であるチーズ価格の低下と円高による輸入メリットが原価を抑制していることが主因と見られます。

主力はバターではなくプロセスチーズ!?

六甲バターの主力製品は、家庭向けでおなじみのQ・B・Bブランドのベビーチーズとスライスチーズです。最近はプレミアムベビーチーズや限定商品の6Pチーズなどを強化し、秋冬需要の取り込みを図る模様です。最近は家でお酒を楽しむことが定着し、またハロウィーンなどの新しい需要も生まれていますので、需要期である秋冬の販売動向に注目したいところです。

ところで、同社の販売実績を見ると、チーズの売上が全体の95%を占めており(2015年12月期)、社名にあるバターという項目は財務資料には見当たりません。

六甲バターは昭和23年に平和油脂工業株式会社として設立され、昭和29年に現在の社名に変更されました。その社名には、「大砲よりバター」という平和を願う創業の精神が反映されています。

同社は当初から人造バターと言われるマーガリンの製造を手掛けていました。そして、その次の展開としてナチュラルチーズに代わるプロセスチーズを昭和33年にから生産販売します。これが現在の主力事業に育ったため、社名とは異なりチーズの会社なのです。

今後の動向を注目していきたいと思います。

 

LIMO編集部