バイデン政権の誕生を中東各国はどう見ているだろうか。表面上は祝福するメッセージを送っても、内心は複雑な国も多いはずだ。
中東各国のバイデン政権への思惑
アラブの盟主であるサウジアラビアはバイデン氏を祝福するメッセージを送ったが、トランプ政権での経済や対イラン政策で構築された蜜月関係は解消される可能性が高い。
同じくトランプ政権で蜜月関係だったイスラエルも、バイデン氏との関係が楽しみだと祝福するメッセージを送ったが、パレスチナ問題など人権問題を重視するバイデン政権がどんな顔を見せてくるかを注視しているはずだ。
反対に、イスラエルやサウジアラビアと長年対立するイランは、バイデン氏がイラン核合意に復帰する姿勢を示していることから、トランプ政権下の懲罰的な対イラン経済制裁が解除されることを望んでいることだろう。
このように各国の思惑はさまざまであり、それが新たな緊張を誘発する可能性もある。
注目されるサウジアラビアの動き
バイデン時代でどう中東情勢が変わるかは分からない。しかし、筆者は最近1つのことを懸念している。それは、米国の関与が薄くなった形での「イスラエル、サウジアラビア vs. イラン」の緊張だ。
最近、イスラエルメディアが報じたところによると、イスラエルのネタニヤフ首相は11月22日、極秘にプライベートジェット機でサウジアラビアを訪問し、ムハンマド皇太子やポンペオ米国務長官と会談を行ったという。
会談では、イスラエルとサウジアラビアの国交正常化やイランへの対応などについて話し合われたというが、具体的なことは今も明らかになっていない。
今年以降、中東ではUAEやバーレーンがイスラエルと国交正常化を発表しており、いつサウジアラビアがそうするかに注目が集まっている。