「ダブルケア」を支援する制度やサービス

勤務先の「育児休業」「介護休業」制度を利用する、地域の相談窓口(地域包括支援センターなど)に相談するなどのサポートは受けられますが、「ダブルケア」そのものへの支援体制や制度はあまり整っていないのが現状です。

「ダブルケアへのサポート」と考えるよりも、「育児へのサポート」「介護へのサポート」と分けて考えた方が、良いかもしれません。

横浜など一部の地域では、「ダブルケアラー」をサポートする民意団体が存在し、「ダブルケアラーサポーター養成講座」などを実施していますが、地域を挙げてサポート体制を整えているところは非常に少ない状況です。

今後の課題

支援体制の整備

「ダブルケアラー」への支援体制は、整っているとは言い難い状況にあり、今後早急に体制を整えていくことが求められます。地域を挙げて支援しているところも少ないため、地域一丸となって「育児」「介護」の両方をサポートできるような環境も必要です。

「ダブルケア」を知ってもらう

先述のソニー生命による調査では、全国の大学生以下の子どもを持つ30歳~55歳の男女(17,049名)に、「ダブルケア」という言葉を聞いたことがあるか尋ねると、「ある」が17.5%、「ない」が82.5%という結果になりました。

「ダブルケア」という言葉すら聞いたことがない人が圧倒的に多く、認知度の低さがうかがえます。

今後、「ダブルケア」という言葉を世間に広く認知してもらうことも、支援体制を整える大きな一歩といえるでしょう。

さいごに

ケアする側に身体的・精神的に大きな負担がかかる「ダブルケア」。

1人で抱え込んでしまうと、ケアされる側にも悪影響を及ぼすことがあります。できれば周りの家族や親族、地域の人々などに協力してもらうことが望ましいです。

しかし、現状では、すべてを1人で担わざるを得ない「ダブルケアラー」も多く、国や地域を挙げての早急な対策や支援体制の整備が求められます。

皆さんも、「ダブルケア」という言葉とともに、「ダブルケアラー」の存在を知り、周りにそのような人がいた時、サポートできるよう心掛けてみてはいかかでしょうか。

【参考】
令和元年(2019年)人口動態統計月報年計(概数)の概況」厚生労働省
ダブルケアに関する調査2018」ソニー生命

鈴木 咲季