2020年10月30日に行われた、株式会社ワコム2021年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社ワコム 代表取締役社長 兼 CEO 井出信孝 氏

第2四半期(2020年4月-9月期)連結決算概況

井出信孝氏:みなさま、こんにちは。ワコムの井出でございます。お集まりいただきましてありがとうございます。今日は私から、第38期の上期の結果と通期の見通し、そしてこの38期の上期で我々が取り組んできたことを少しご紹介しながら、我々の方針と戦略をお話しさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

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それではまず3ページ目ですが、こちらに第2四半期の決算概況を示しています。売上高は553億円、前年同期比18パーセント増、営業利益は86億円、前年同期比186パーセント増ということで、売上と営業利益、そして当期純利益ともに過去最高を記録することができました。ありがとうございます。

ブランド製品事業は、従来のクリエイティブの用途に加えて、オンライン教育、リモート教育、こちらでの需要が非常に増え、売上高が増収となりました。セグメント損益も上期では黒字転換しています。テクノロジーソリューション事業はお客さまからの需要増により、売上、セグメント利益ともに増収増益というかたちで着地しています。

第2四半期(2020年4月-9月期)連結損益計算書

次のページにはP/L、連結損益計算書を示しています。こちらのポイントはスライドに赤丸で示した部分、営業利益です。前年同期比で約56億円のプラスになっています。為替の影響や米中の追加関税の影響もあったのですが、そちらをしっかり吸収して売上が増加しました。加えて、製品ミックスの最適化により、前年同期比でプラス約56億円、186.4パーセントというかたちでしっかり着地することができました。

販売費及び一般管理費の主な内訳

次のページは販売管理費を示しています。こちらはおおむね前年同期比で削減できています。やはりこのコロナの関係で、販促イベントなどの物理的な営業活動はずいぶん制約を受けたのですが、その中でも我々はデジタルマーケティングやソーシャルネットワークを使った販促活動はコロナの前から取り組んでいたことでもあるのですが、そちらを加速させて、上期の売上高販管費率は21.8パーセントというかたちで着地しています。

事業セグメント別損益

次のページは、事業セグメントごとの損益を表しています。こちらは事業セグメントごとに少し解説したいと思います。

第2四半期(2020年4月-9月期)事業セグメント概況-1

次のページに移ります。こちらはブランド製品事業で、売上高261億円、セグメント利益43億円です。冒頭でお話ししたように、やはりハイライトは従来型の絵を描く、ドローイングの用途に加え、このコロナ禍の中でオンライン教育、リモート教育、教育のデジタル化が加速しており、そちらに弊社のペンタブレットやディスプレイ製品を多く使っていただいているということです。

クリエイティブ用途以外の需要の増ということがハイライトとなって、増収となっています。売上増加とともに製品ミックスも改善して、セグメント損益は黒字転換というかたちで着地しています。

第2四半期(2020年4月-9月期)事業セグメント概況-2

次のページがテクノロジーソリューション事業です。テクノロジーソリューション事業は、ワコムのブランドは付けずに、ペンの技術そのものを切り出して、ワコム以外のOEMのお客さまにこのテクノロジーを実装している事業です。こちらは売上、セグメント利益とも前年同期比でプラスとなっています。

テクノロジーソリューション事業には、大きく2つの技術のポートフォリオがあります。このうちAESテクノロジー、静電容量結合方式で指タッチを使ってペンを動かしていくテクノロジーについては、主要のお客さまの生産サプライチェーンに若干の制限があったり、我々のサプライチェーンの制限があったりして少し増減があり、全体としては売上減少になっています。

その一方で、EMRテクノロジー、電磁誘導方式のテクノロジーについては、しっかりと売上増加になっています。

連結貸借対照表

次のページは貸借対照表です。こちらのハイライトは、やはり少量GSボリュームが伸びていますので、これまでいろいろご説明してきた、たな卸資産の増加や売上債権の増加はあるのですが、これは売上、規模の増加に伴うことなので問題ないというかたちになっています。

連結キャッシュ・フロー計算書

次のキャッシュ・フローのところでも、仕入債務の増加、売上債権の増加、たな卸資産の増加とありますが、ここもやはり少量の規模が上がっているということで、しっかりマネージできている状況になります。以上、上半期の結果をご説明しました。

2021年3月期(38期)連結業績予想の主なガイダンス

ここからは38期の通期の連結業績予想ということでガイダンスをしたいと思います。こちらのページはポイントについて述べています。まず一番大きなものは、前回の5月の開示では、まだコロナの状況も極めて不透明であったため、レンジ形式ということで、下限と上限というかたちで幅を持って開示をしたのですが、今回は一本化します。

その一本化の数字はベースラインということで置いています。このベースラインという考え方は、我々が「Wacom Chapter 2」に入ってからご説明している内容なのですが、いろいろなリスクもチャンスもある中で、今予見できるリスクは織り込むということです。

非常に堅い数字にはなりますが、このリスクを織り込んだ数字の外で、少しでも上振れを目指すために、追加の案件や追加のプロジェクトにしっかり取り組んでいきます。予見できていなかった新たなリスクとの相殺も含めて、オポチュニティー、機会を捉えて、少しでも上振れを目指して着地することを狙うというのが、我々のベースラインという考え方です。このベースラインの考え方に基づいて、一本化の数字の開示に変えています。

通期業績としては、過去最高を更新する売上をベースラインとしています。ポイントは、この第3四半期以降、10-12月、そして1-3月、先ほどお話ししたように追加のチャンスを狙っていきますが、この第38期にとどまらず、第39期以降の新しい市場の開拓や、コロナで加速した教育市場のデジタル化などにしっかり投資して、市場開発をして、安定的に成長できるような市場に変えていく、積極的な活動をしていくことが重要だと考えています。

2021年3月期(38期)連結業績予想の主なガイダンス①

次のページがガイダンスの概況です。売上高990億円、前年同期比12パーセント増というかたちになります。営業利益は90億円で、これも前年同期比62パーセント増です。前回の5月の開示では52億円から67億円というレンジで開示していたのですが、これを90億円に修正するかたちになります。これはあくまでもベースラインということです。

2021年3月期(38期)連結業績予想の主なガイダンス②

次のページからブランド製品事業とテクノロジーソリューション事業、それぞれのセグメントごとにキーポイントを少しご説明します。こちらはブランド製品事業です。売上高510億円、セグメント利益57億円です。引き続き、上期でも出現したクリエイティブ以外の用途、特に教育系の用途にソリューションをご提供できるよう、しっかり取り組んでいきます。

ペンタブレット、ディスプレイともに従来のクリエイティブに加え、新しく出現している市場をしっかり取り込む活動をしていきます。通期のセグメント利益は、ミックス改善や販管費の最適化により、しっかり増益を見込んでいきます。

2021年3月期(38期)連結業績予想の主なガイダンス③

次のページが、テクノロジーソリューション事業です。こちらは売上高480億円、セグメント利益78億円で、セグメント利益は前年同期比で若干のプラスというかたちになっています。

こちらはOEMのお客さまに対してのソリューションの提供なので、お客さまのビジネスの状況に影響される部分があります。しっかりサプライチェーンを整え、OEMのお客さまもリモートワークやリモート教育などの事業機会を捉えているので、そこをしっかりサポートしていきます。

また5月の開示でもお話ししましたが、このテクノロジーソリューション事業では、将来に向けた積極的な研究開発を行っていきます。ワコムは「テクノロジー・リーダーシップ・カンパニー」と標榜していますが、そのテクノロジーの革新、イノベーションの部分をけん引していく投資を、このテクノロジーソリューション事業でしっかり行っていくということです。

テクノロジーソリューション事業のセグメント利益には、その技術開発投資が入っており、それを勘案しつつも増益を見込んでいくというかたちになっています。

2021年3月期(38期)事業セグメント業績予想別 対前回予想比較

こちらは、事業セグメントごとに前回予想との比較を出しています。のちほどご覧ください。

2021年3月期(38期)研究開発費、投資計画予想

17ページは研究開発費、投資計画予想となっています。研究開発費は54億円ということで、これは5月に開示した金額から変わっていません。前年同期比では2桁の増となっていますが、やはり会社全体として、ブランド製品事業とテクノロジーソリューション事業の両方に関わる技術革新をしっかり行っていくということです。新製品開発と次世代の技術開発、これを含めて投資していくという方針に変更はありません。

資本的支出は21億円で、これも前回から変更はありませんが、こちらはしっかり売上につながっていく量産金型等への投資を行っていきます。減価償却費については、前回から若干の変更があるのですが、こちらは量産金型です。グローバル基幹業務システムの減価償却費も入っていますが、大きな変更はありません。

2021年3月期(38期)株主還元策

18ページは、株主還元策です。利益配分の基本方針については中期経営計画「Wacom Chapter 2」の発表以来、変更はありません。この財務体質を強化していくということと、安定した配当の継続と機動的な自己株式の取得、これも含めて基本方針とするということです。

今回の配当金予想についても7.5円ということで、金額自体は前回の5月の開示から変更していません。ただし、我々の当期の状況をよく見つつ、総合的な視点から検討して、この配当を修正、増配するという環境が整ったタイミングには速やかに修正内容を開示したいと考えています。以上が、第38期の通期の業績予想のガイダンスです。

鉛筆「Hi-uni」の描画体験をデジタルで再現

このあとは、もう少しだけ10分ほど時間を使わせていただき、第38期の上期、4月から9月の軌跡ということで、いくつかの事業事例をご紹介したいと思います。今からご紹介する事例はすべて、中期経営計画「Wacom Chapter 2」および各年度でご説明してきたワコムの方針や戦略が具体化した事例、もしくはこの戦略を推し進めてきたことの結実の事例の紹介というかたちで聞いていただければと思います。

まず1件目ですが、こちらは三菱鉛筆、セルシスと協業した、鉛筆の「Hi-uni」の描画体験をデジタルで再現するというもので、8月に発表しました。これは3社のコラボで、本当に鉛筆の中ではもう最高の体験とブランドポジションを維持されている「Hi-uni」を、僕らのデジタルペン、そしてセルシスのアプリケーションで再現し、この鉛筆と見紛うばかりの体験を提供することが実現しています。

これは、これまでに方針や戦略をご説明する中で、「ワコムのデジタルペン、デジタルインクの技術をどうやって差別化するんですか?」というご質問や議論があったと思うのですが、そのような議論に対して、我々はハードウエアの値段やマーケティングだけではなく、実際にお客さまに名器として感じていただける体験、ユニークな体験を作り、その体験で差別化をしていくということをお話ししてきました。

そのまさに実例として、この3社コラボによって鉛筆「Hi-uni」の描画体験をデジタルで再現するという、他社がまねできないような、新しいユニークな体験を実現しました。このような体験をお客さまにご提供するということが「体験による差別化」の実例の1つというかたちになります。

アンドロイド環境で本格的な描画体験を

次のページでご紹介しているのは、アンドロイド環境でも本格的な描画体験ができるというものです。パソコンを持たない方が増え、「自宅にパソコンがないが、それでもこの液タブを使いたい」というニーズ、そのような世代が増えてきている中で、我々のこの「Wacom One」という液晶タブレットの商品に、スマホをつないで駆動することができるようになっています。

これは、ただ「アンドロイドにつながります」「スマホにつながります」というだけではなく、アンドロイドの上で動く本格的な描画のアプリケーションです。このアプリは「CLIP STUDIO PAINT」のアンドロイド版として共同開発し、今は「Galaxy」のコミュニティに対して提供されています。単に描けるということではなくて、本格的な描画体験をアンドロイドの環境下でご提供することができるようになっています。

もちろん「Samsung Galaxy」と我々は非常に深いパートナーシップでもあります。ワコムの「Wacom One」という液タブ、アンドロイドで本格的な描画体験をご提供できる「CLIP STUDIO PAINT」、そして「Galaxy」の三位一体によりアンドロイドでユニークな描画体験をご提供できる、これも「アンドロイドのコミュニティで描画体験を実現するように取り組んでいきます」とご説明してきたことが結実した実例ということになります。

教育事例(米国/韓国):ワコム液タブで双方向遠隔授業

次のページが、冒頭でもお話ししましたが、ワコムのブランドの製品がいわゆるクリエイティブ以外の用途で使われることが出てきているという実例です。

教育の事例としては、リモートで先生と生徒が液タブに双方向から書き込みをして授業を進行していったり、画面に直接描画をして、まるでホワイトボードのように使っていったり、さらに授業コンテンツそのものを先生が手書きで作成したり、そのような事例がもう実際にグローバルで起きています。

これは「YouTube Live」を使ったり、「PowerPoint」を使ったり、「Flipgrid」というプラットフォームを使ったり、いろんなアプリケーションやサービスと組み合わせて、リモートでデジタル教育を提供していくということに、我々がしっかり貢献できているという実例です。

一過性の事例にとどまることなく、いろいろなアプリ会社やサービスと組んで、リモートで教育をしていく、もしくは教室でもデジタル化に貢献していくということで、この教育の分野も、ワコムのブランド、テクノロジーソリューションに限らず、我々のテクノロジーでサポートしていくという方針で取り組んでいきます。

教育DXの新しい取組:子どもたちの創造性を支える

次は、これも同じく教育DXの事例です。単に「つながる」「リモートで授業をする時のツールになる」というだけではなく、やはり大切なのはクリエイティビティであると考えています。子どもたち、生徒たちの創造性をしっかり支えていかなければならないということで、コロナが始まる前から取り組んでいたのですが、「キッズデザイン賞」を「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門」で受賞しています。

今個々に出ている写真群は、我々はコロナの間でもオンラインでお絵かきをシェアできるようなワークショップを行っているのですが、その様子です。単にデジタルデバイスをご提供して家庭と教室をつなぐだけではなく、我々の基本精神である「クリエイティビティを支えていく」、この部分もしっかり教育で実現していきたいと考えています。

Galaxy S-pen体験を10年支えているワコムペン技術

次のページは、「Galaxy」の「S-pen」です。8月に「Note20」とSamsungのタブレット「Tab S7+」が発表されていますが、そこでも、もう10年以上この「S-pen」の体験を我々の技術で支えているというかたちになります。

単に搭載しているということではなく、毎年毎年必ず、意味ある新しい付加価値をご提供し続けています。今年の新製品でも、基本的なところですが、描画の遅延を最小化するということで、しっかりお客さまと一緒に取り組みました。新しい付加価値を提供し続けて10年以上この「S-pen」の体験を支えているという実例です。

世界初折り畳みPCを支えるワコムペン&タッチ技術

次のページは、Lenovoとのコラボです。Lenovoが先月発表した世界初となる折り畳みPC、折り畳みパソコンですね。実はここにワコムのペンとタッチの技術が搭載されています。本当に折り畳んで使えるということで、指タッチと、ペンがしっかり使えるということに我々の技術を実装しています。

技術的にサンプルを作ったり、いわゆるProof of concept、PoCを作ったりということだけではなく、Lenovoとともにこれを実際に販売して商用化していくというところまでしっかり作り込んで、我々のペンとタッチの技術でお支えしているということです。

この折り畳みディスプレイ、折り畳みでモビリティを実現していくということは、非常に今後のトレンドになってくると思いますので、引き続き我々のペンとタッチの技術でしっかりこの折り畳みの体験を支えていきたいと考えています。

教育分野における「手書き×デジタル」

次は、教育分野における手書きとデジタルのコラボレーションです。10月19日にリリースしていますが、教育サービスを提供しているZ会と我々がコラボレーションして、手書きとデジタルを組み合わせて、より革新的な新しい学習サービスを提供していきます。

これは我々のハードウエアとしてのペンのテクノロジーと、そのペンから出てくるデータ、我々がデジタルインクと呼んでいるこのデータの部分を使って、Z会とともに意味のある革新的なデジタル学習サービスを提供するというものです。

今後段階的に、どのような内容の協業で、どのような共同のソリューションを学習の現場にご提供するのかということを、順次発表したいと思っています。11月17日、18日に行われるイベント「Connected Ink 2020」の中で、Z会との取り組みについてさらにもう少し深い内容をご紹介したいと考えています。このイベントについても、のちほど少しご説明します。

これまでいろいろな戦略説明や方針説明の中で「教育に取り組みます」「文教に取り組みます」「ハードウエアだけではなくて、ペンから出てくるインクのデータを使って、新しい世代の教育サービスを作っていきたいと思います」ということを何回もお話ししていると思うのですが、いよいよそれを実装していく、実現化していくということです。我々の方針戦略、技術開発がしっかり進捗しているということの実例として捉えていただければと思います。

環境への取組み 基本の開示をしっかりと進める

次からは、ビジネスではなく、我々の環境や社会に対する取り組みがどのように進捗しているかということを少しご紹介したいと思います。このページでお示ししているのは、環境への配慮ということで、気候変動への対応について中期目標を含めて、Webにしっかり開示するようにしたということです。

これまでも、もちろんしっかり取り組んではいたのですが、開示がまだ十分でない部分もありました。そのため、どのような対応をしていくのか、どういう中期目標を設定していくのかということと、その進捗を、透明性高く開示していく、基本の開示をしっかりと進めるというメッセージです。

環境への取組み KOPPA×Wacom

次のページは、いわゆる気候変動というようなフレームワークに基づく取り組みではないのですが、ワコムのユニークな環境への取り組みということで、これもWebに開示しています。

これはKOPPAという団体、チームと組んで行っているコラボレーションですが、建築現場で出てくる廃材の木材を使って、僕らが商品展示をする棚や、イベントをするステージなどを作るというものです。

1回1回展示して壊す、ステージを作って壊す、そのようなサイクルではなくて、1回作ったものを末永く使っていくことを考えています。また次の商品棚にも使うとか、ステージにこの廃材を使ったとして、イベントが終わったあとは、みなさまのご家庭やオフィスで使っていただけるような家具に変える、次の年のイベントではそれをお借りしてまたステージに使う、というようなことです。

廃材から出発して、めったやたらに捨てない、めったやたらに壊さない、サーキュラーエコノミーとしてつながっていくということを、僕らのビジネスの中でしっかり体現していこうという取り組みです。このようなワコムとしての小さいですがユニークな取り組みで、サーキュラーエコノミーにしっかり向き合っていきたいと考えています。

社会への取組み 休校中の子供たちにオンラインスケッチ教室

次のページは、社会への取組みについてです。こちらもWebに開示しているものですが、前回もお話ししたように、もちろん会社としてしっかり社会への取組みを考えていくということと、それぞれの地域のワコムのチームメンバーが、それぞれの地域で社会への意味のある関わりを実現していくこと、それをしっかりハイライトして、我々の社会への取組みを盛り上げていく、そのようなことを考えています。

これは、コロナの間休校になってしまったドイツの小学校で、小学校の生徒、親御さんに対してオンラインのスケッチノートの教室、ワークショップを行って、非常に好評だったというものです。

本当に「草の根」なのですが、いわゆる会社の指示ではなくて、このような我々の技術、製品を使って、どのように社会に少しでも貢献できるかということを、チームメンバーの一人ひとりが考えてくれて、それをそれぞれの地域、それぞれのコミュニティで実施していく、それを会社がしっかりサポートしていくと、そのようなかたちの社会への取組みになっています。

社会への取組み ARS Electronica×Wacom

次のページも社会への取組みについてですが、これはワコムのユニークな取組みです。前回の開示の時にも少しお話しした、ヨーロッパ、オーストリアのリンツ市にあるアートテクノロジーの団体ARS Electronicaとコラボしています。

このARS Electronicaは、設立されてもう40年以上になります。いわゆる社会の課題に対してアートとテクノロジーを駆使して課題提起していくという団体なのですが、我々と非常に理念、ビジョンが一致する部分があり、今年からやや長期的なコラボレーションをするということで始めています。

このコロナでなかなかリンツと行き来することは難しかったのですが、初年度のコラボレーションとして、ワコムが持っているペンとデジタルインクのテクノロジーと、ARS Electronicaが持っているドローンの技術を組み合わせます。

我々のペンとインクで込めていく創造性、創造の魂のようなものに、ドローンも対応することができるのかというかたちで、ドローンがLEDで絵を描いて、我々のペンを使ってアーティストが絵を描く、単にペンでドローンを操作するということではなくて、お互いが呼応し合って何か新しいアートを作るというものです。

「これからどんどん進むデジタル社会、デジタルが中心となっていく未来の社会で、人間の創造性はどのように位置付けられるべきなのか」というような課題提起に、この2社のコラボレーションで取り組んでいきます。

コミュニティで体験を作る Connected Ink イベント

最後にご紹介したいのは、軌跡というより今後の話なのですが、11月17日の夜8時から翌日18日の夜8時までの24時間、我々は「Connected Ink」というイベントを実施します。そこでは本当にいろいろな異業種、異文化、異なる業界からいろいろな人に集まっていただいて、「クリエイティブ・カオス」「『創造的なカオス』を巻き起こす」というようなことを今回のテーマにしています。

そこで何か新しいビジネスを作るというよりも、異なる者たちが集まって、新しい技術イノベーション、新しい体験、新しい教育のあり方、このコロナの新しい働き方の時代の中でアートはどう成立していくのか、このような人間にとって非常に大事な要素を、しっかり議論して、見せて、学んで、インスパイアし合う、そういうイベントになっています。

ぜひみなさまにもご参画いただきたいと思いますが、今回このコロナ禍の中ですので、オンラインバージョンとオフラインバージョンを両方同時に、ハイブリッド方式で実施します。新宿の三角広場でオフラインは実施し、まったく同じものをオンラインでも配信する予定です。

日本だけではなくて、グローバル全部つないで、ワコム、もしくはワコムのパートナーが持っているいろいろなコミュニティが集まって、24時間のイベントを行うということになります。

日本フィルハーモニーや、ARS Electronica、ビジネスのパートナー、ダンサーの人たちなども、例年を超えて本当にさまざまな異なる要素の人たちに集まっていただいて、我々の未来を作っていくというイベントにしたいと思います。

以上が、私のプレゼンテーションでした。第38期の上期の結果のご報告と、第38期の通期業績予想のガイダンス、そしてこの第38期の上期の我々の軌跡を通して、これまで僕たちがお伝えしてきた方針や戦略が、具体的にどのようなかたちで結実しているのかということをご紹介させていただきました。

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