2020年11月18日に行われた、株式会社協和エクシオ2021年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社協和エクシオ 代表取締役社長 舩橋哲也 氏
(1)概要
舩橋哲也氏:機関投資家のみなさま、証券アナリストのみなさま、社長の舩橋でございます。日頃より格別のご支援、ご指導を賜り、心より厚く御礼を申し上げます。
新型コロナウイルスの影響で、残念ながら今回も、みなさまに直接お越しいただいて、お顔を拝見しながらということは叶いませんが、よろしくお願いいたします。それでは、さっそく始めさせていただきます。
2ページの業績概要からご説明します。おかげさまで、第2四半期まで、新型コロナウイルスの影響は限定的で、受注高、売上高、営業利益ほか、各利益は今のところ、すべて過去最高で順調に推移しています。
特に受注については、通期計画進捗率で55パーセントと好調に推移しています。また、若干販管費が増えていますが、M&Aによって新規連結子会社が増えたことが主な要因となっています。
(2)受注高
受注高ですが、トータルで前期比プラス25億円と、こちらも順調に推移しています。従来エクシオグループのNTTの部分は残念ながら少しマイナスですが、もともとオリンピック、パラリンピックが開催予定のため、上期の計画は少し弱めに見込んでいます。また、一部で新型コロナウイルスによる遅れも見えるところがあります。
一方、NCCのお客さまについては、ソフトバンク、楽天の受注が非常に好調に推移しています。
都市インフラについてはマイナスに見えていますが、前期の9月に非常に大きな受注が2件あったため、その影響によるものです。現状では、データセンター、大型ビルの電気工事の受注も引き続き好調です。10月にも、複数のメガソーラーの工事を受注していますので、ご報告いたします。
システムソリューションについては、「GIGAスクール」が私どもの想定を超えて順調です。またグローバルについては、第1四半期、第2四半期は特に先行する受注は順調に推移しています。西日本3社も「GIGAスクール」の受注が大型で増えてきていることもあり、順調に推移しています。
(3)売上高
売上高ですが、トータルで前期比プラス125億円と、こちらも堅調に推移しています。従来エクシオグループのNTTの部分は、残念ながら少しマイナスではありますが、ネットワークやモバイル等、新型コロナウイルスによる物品の納期遅れ等々の影響が少し出ています。
一方、都市インフラについては大きくプラスで、メガソーラー、データセンターなどの大型案件が順調に進捗しています。また、システムソリューションもしっかりと売上を確保できており、対前年で見ても受注、売上もまずまず伸びてきています。
ただし、ロックダウンの影響で、シンガポールでの建設工事がどうしてもできない部分があったため、その5ヶ月ほどの期間の影響が出てきています。また西日本の3社については、NTTグループ、NCCともに工事の進捗は順調です。
(4)営業利益
営業利益は、トータルで前期比プラス5億円と、こちらも堅調に推移しています。増益の要因ですが、従来エクシオグループの売上増加に伴うものがプラス20億円ほどで、組織間の施工の相互支援などによる生産性の向上でプラス9億円となっています。
また、減益の要因ですが、高利益の700メガヘルツテレビ受信対策工事、あるいはNTTモバイル工事など、一部で売上減少に伴うミックス悪化が14億円ほどあります。なお、新規連結等による販管費の増加がプラス14億円、M&A費用がプラス2億円というかたちで推移しています。
西日本3社はいずれも好調とお伝えしたいのですが、シーキューブは若干の減益となっています。これは、前期に「Windows 10」の移行案件の大型特需があった影響ですが、この後、後半では盛り返してくると見ています。3社トータルではプラス6億円と、着実にシナジー効果も出ていると理解しています。
<参考> グループ会社の利益推移
営業利益の連単倍率の推移ですが、単体、グループともによいバランスで上昇していると思います。
(5)キャッシュフロー
キャッシュフローの状況です。おかげさまで、コロナ禍においても営業キャッシュフローは大きなプラスとなっており、着実に工事を仕上げ、資金回収することができていると思います。特に後半は引き続き工事を完成させ、しっかりとお客さまにお届けすることが依然として急務だと思います。
投資キャッシュフローですが、固定資産の取得により約50億円ほどの支出があります。M&Aは今年度は前半に1件、一部出資がありましたが、慎重に見極めて判断するということにしており、手元のキャッシュを厚くする努力をしています。
今後とも、中長期の成長投資、積極的な株主還元、内部留保の確保等々について、そのバランスを見極めながら企業価値の向上に資するよう、資金の使い方を検討していきたいと考えています。
(1)概要
通期の見通しです。当社としては、計画の達成に向けて着実に進んでいるものと理解しています。ただし、新型コロナウイルスの第3波の感染拡大が懸念される状況ということもあり、引き続き受注の拡大に努め、工事を確実に進捗させ、手元流動性を確保しながら堅実な事業運営を行っていきたいと思います。
また、国内だけでなくグローバルにおいても、現在の状況を踏まえて、あまり拡大するのではなく、慎重に、しっかりと基盤を固めていこうと思っています。
売上高についてですが、下期に集中している各種モバイル工事、あるいは年度内に完成が求められているGIGAスクール関係などが目白押しのため、過去最高益の更新を目指して引き続き取り組んでいきたいと考えています。
(2)NTTグループ(アクセス、ネットワーク)
NTTグループのアクセス、あるいはネットワークについての状況ですが、新型コロナウイルスの影響で少し弱含むと想定していましたが、首都圏を中心に光回線の需要も堅実で、私たちの想定よりもアクセスは好調な雰囲気になってきています。
特に、下期から来年度末にかけて、政府が主導する「高度無線環境整備事業」に伴う地方部の光ファイバ敷設工事の増加も見込まれることが大きいと見ています。
また、ネットワークは弱含みのように見えていますが、5Gの積極的な展開があると見込んでいますので、それに対するモバイルバックホール工事の増加も期待しています。
(3)NTTグループ (モバイル)
NTTグループのモバイルです。おかげさまで、5Gはかなり前倒しの声も出てきてはいますが、それを踏まえて弊社としては2つの施策を用意しています。
昨年から始めているアクセスとモバイルの融合による生産性の向上、また今年から始めているNCCチームとの連携を図り、「オールモバイル」という掛け声で施工体制の充実を図っているため、この下期もより一層の効率化を進めていく予定です。あわせて、ドコモの5Gエリア展開にも迅速に応えていきたいと思っています。
アクセスとモバイルの融合では、アクセスのチームに陸上特殊無線技士の資格を取得してもらうなど、光ファイバのみならず、無線基地局との一体的な施工へ向けた準備を、引き続き進めるつもりです。
また、今年度から始めた「オールモバイル」という施工体制ですが、折衝コンサル、設計、施工管理、あるいは施工の共用化といったことで、プロジェクトを進めている真っ最中です。
(4)NCC
NCCに移りますが、KDDIからの受注も、若干ですが回復基調と見ています。西日本の3社とも連携して積極的に取り組んでいるソフトバンク、楽天の工事の受注は非常に好調です。
ただし、残念ながら新型コロナウイルスの影響もあると思いますが、一部の物品に納期の遅れ等があります。受注の進捗に比べて完成工事の進捗が若干遅れているように見えるかもしれませんが、すでに体制はだいぶ充実してきており、お客さまからのアナウンスももらっているため、十分リカバリーが打てると思います。
各キャリアの5G基地局の開設計画がかなり前倒しという雰囲気も伝わっていますので、まずはいただいた手持ち工事を着実にこなし、お客さまの信頼を勝ち得ながら、今後もトップラインの拡大に努めていきたいと考えています。
(5)都市インフラ
続いて都市インフラです。今年度は、昨年度のような超大型の受注はありませんが、データセンター、あるいは太陽光などについては引き続き堅調な受注となっています。
700メガヘルツテレビ受信対策工事については5G対応での見直しが少しあり、対象エリアを少し絞るといった施策もありますが、我々の計画はほぼ達成できるのではないかと見込んでいます。
また、以前から少しご紹介している弊社の「アースシャトル」という新しい工事についてもすでに受注して、工事を展開しています。引き続き、事業の拡大を図りたいと思っています。
<参考> 都市インフラのその他の注力事業
私どもが担当している工事に関してですが、「こんな雰囲気なのか」とひと目でわかるスライドをご用意しました。引き続き事業フィールドを拡大させたいと思っていますので、ご覧いただければと思います。
(6)システムソリューション
システムソリューションですが、おかげさまでNIあるいはSIの事業も堅調に推移しています。先ほども少し触れましたが、西日本3社でも「GIGAスクール」関連の受注が非常に好調です。私どもの想定をかなり上回りそうな手応えがあり、少し驚いていますが、日夜受注に取り組んでいます。
グローバルですが、上期の受注は非常に好調にスタートしているものの、やはりロックダウンの影響があり、海外の現地法人3拠点ともロックダウンに遭遇しています。特に厳しいのはシンガポールで、同国の建設工事では感染疑いのある人が1名でも出ると、関係者は全員隔離されるということもあり、エンジンがかかるのが遅くなっています。
9月からは工事を再開していますが、お客さまによっては大型の受注であっても工事を少し遅らせてほしいというアナウンスもいただいており、ここはやむを得ないとは思っています。ただし、通信関係の仕事に関していうと、社会的に必要な分野ということで、このコロナ禍でも「しっかり工事をしてほしい」「保守をしてほしい」という声があり、まずまず堅調だと思っています。もともと約束していた利益改善は少し遅れるかもしれませんが、マクロでいうと、今年度の計画に大きな影響を与えるとは見ていません。
<参考>当社のソリューションモデルマップ
当社のソリューションモデルマップです。ウィズコロナの生活様式、働き方改革、デジタル化の進展など、私どもにとっても、社内・社外ともにお客さまと一緒に付加価値を高めてお役に立てるようにと考えています。
昨年後半に、全社横断のデジタルコンサルティング本部を設置し、組織の垣根を超えた複合ビジネスの創出にも注力しています。
(7)中長期的な成長に向けた取り組み
私どもが新たに取り組んでいるプロダクトの一例をご紹介します。「GIGAスクール」は、先ほどお伝えしたとおり、全国で大きな受注になりそうです。また「ServiceNow」については、認定技術者を数十人育成して、受注の実績も徐々に積み上がっています。パートナーランクも、「Specialist」から「Premier」へ、上から数えて2番目のランクにアップしています。また、ローカル5Gについては、具体的案件は差し控えますが、いくつかの実証実験にエントリーしています。
(7)中長期的な成長に向けた取り組み
昨年から、私どももDXに取り組んでいます。その意味では、緒に就いたばかりではありますが、全社的にいろいろな業務改革の取り組みをスタートしています。
例を挙げると、工事検査業務など、現業業務のデジタル化、あるいはペーパーレスや押印レスなど、バックオフィス業務のデジタル化を推進しています。引き続き、間接コストの低減に向けて努力していきたいと考えています。
(8)ウィズコロナ時代の働き方改革の取り組み
ウィズコロナ時代の働き方改革の取り組みです。今まで弊社が担当したいくつかのソリューションをまとめて、利用いただけるシーンを作っています。
例えば、スライド右上の「EXOffice」についてですが、弊社の本社でも毎日出社率、出勤率が見えるようになっており、社内ホームページで勤務状況を確認できるようにしています。また「Microsoft Teams」を活用して、多くの会議でオンライン化を進めています。
(1)事業領域別の展開イメージ
続いてM&A戦略についてです。冒頭にも少しお伝えしましたが、今年度は、経営としては資本あるいはキャッシュを「守りの姿勢」で丁寧に見ながら、事業領域別の展開イメージに沿って、本当に組みたい仲間がいれば、すかさず実行しようと考えています。
ご覧いただいておわかりのとおり、2020年はスライド左側のサンエツに一部出資させていただいたのみで、大型のものは慎重に検討している段階です。引き続き、都市インフラとシステムソリューションの分野では「よいお相手がいれば」と考えて検討を進めています。
(1)株主還元施策
株主還元ですが、年間配当はスライドのとおり82円を予定しており、中間配当は予定どおり41円をお支払いしたいと考えています。
また、おかげさまで今のところ業績は堅調に推移しているため、株主のみなさまへの積極的な還元施策として、30億円の自己株式取得を発表したところです。今年度の事業計画を着実に達成して、10期連続増配を目指したいと考えています。引き継いできたバトンを落とさないことも、1つのテーマと考えています。
(2)2020年度株主還元計画等
株主還元の推移ですが、ご覧のスライドのとおり、今期までの総還元額は約122億円、総還元性向は57.9パーセントになる予定です。今後も業績の動向を見極め、機動的な資本政策を遂行して、積極的な株主還元に努めていきたいと考えています。
(1)南関東支店が“ZEB”導入事業に認定
最後に、2つほど新しいトピックスをご報告します。弊社の南関東の支店がだいぶ古くなり、現在建て替え真っ最中です。
おかげさまで、神奈川県からネット・ゼロ・エネルギー・ビル「ZEB」の導入ということで認定を頂戴したため、ご報告します。引き続きESGへの対応ということで、着実にステップを進めていきたいと思います。
(2)当社の信用格付が 「A+」 に変更
2つ目が、当社の信用格付けについてです。日本格付研究所(JCR)から取得している格付けが、今までは「Aポジティブ」でしたが、8月末に「A+」ということで、1ノッチ上げていただきましたので、あわせてご報告します。