定年間近。貯蓄はどのくらいあれば安心?
「定年後も20年生きると考えると本当に長い。子どもだったら成人してしまう年月ですよ。今の貯金じゃ足りなくなるでしょうね」(Yさん・56歳)
「人生100年といわれるけれど、収入は上がらないし、教育費はかかるし。老後のことまで考えていられないのが正直なところです」(Kさん・50歳)
定年間近になると気になるのが、今後の生活を見据えた貯蓄額。定年前の50代、および定年~セカンドライフを迎えた60代・70代の平均貯蓄額をみてみましょう。
【50歳代】1,194万円(中央値600万円)/金融資産非保有21.8%
【60歳代】1,635万円(中央値650万円)/金融資産非保有23.7%
【70代以上】1,314万円(中央値460万円)/金融資産非保有31.1%
令和元年6月に金融庁が発表した「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」には、65歳以降の20年で1,300万円、30年で2,000万円の取り崩しが必要だと記載されています。各世代2,000万円とはいかないものの、おおよそ1,300万円には達するように見えるかもしれません。
しかし、これはあくまでも平均額。一般的に中央値の方が実情に近いといわれていますが、定年を迎える60代でも650万円しかなく、さらに金融資産を持たない世帯も各年代で2割以上存在していることが分かります。そして1,300万円・2,000万円という数字は、実は生活資金に限ったもの。老後に発生すると考えられる介護費用などは含まれないため、実際はこれ以上かかる可能性もあることを考慮しておくべきでしょう。